辻堂西海岸在住の絵本作家・永井みさえさん(24)が、児童養護施設の子どもたちに向けた絵本『てをつなごう』を制作した。作中のキャラクターは子どもたちに命名してもらい、今後、県内32の児童養護施設ごとにそれぞれ名前の異なる主人公を登場させるユニークな取り組みを行う。
高校生のころから独学で絵本の制作を始めた永井さんは、映画とのコラボ作品や個展開催など、さまざまなシーンで活躍する絵本作家。創作活動の傍ら、児童虐待防止「オレンジリボン運動」に参加しているほか、県内の児童養護施設で学習支援ボランティアとして子どもたちに勉強や絵画などを教えている。
活動を通して永井さんは、多くの養護施設が殺風景な上に、地域や他施設との交流も少なく、やや閉鎖的な印象を受けたという。また、親からの虐待や育児放棄が原因で入所する子どもたちの中には、愛情不足から自己肯定できない子も多い現実を知った。そこで、ともに活動を行う高原和樹さん(27・海老名市在住)と、「自分たちで何かできないか。明るい方向へ変えたい」と、子どもたちと共作による絵本の制作に着手した。教諭や関係者の説得をはじめ、綿密なプレゼンなどを経て、このほど構想から1年、ようやく絵本が形になった。
自己肯定できるように
絵本『てをつなごう』は、主人公のタヌキとキツネがさまざまな人に出会い、新たな発見をする物語。オールカラーA4サイズで24ページ。イラストは、ボールペンや水彩絵の具、クレヨンが用いられ、作中では登場キャラクターがいきいきと描かれている。「子どもたちに、今つらくても、今できなくても、未来は明るいからねって伝えたい。自己肯定の力を養ったり、みんなが笑顔になってほしい」。
現在は、県内32施設を対象に主人公の名前を公募しており、7月末に正式に命名するという。その後、印刷され、10月に1000部出版、施設に無償提供する。一部書店やイベントで販売され、売り上げは寄付に充てる。
永井さんは「正式に出版される名前は2案のみだけれど、子どもたちが考えてくれた名前はテープなどを利用して上書きして各施設に届けたい。また、一般の人にも養護施設について知ってもらい、先入観が無くなれば」と話している。
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