文化庁文化審議会は11月20日、遊行寺など市内3カ所15件の建造物を国の登録有形文化財に登録するよう、文部科学大臣に答申した。近く答申通り告示され、市内の登録有形文化財の建造物は10カ所27件となる。
今回は、西富の「遊行寺(清浄光寺)」から10件と辻堂太平台の「月山堂滴水庵」から3件、本町の「関次商店」から2件の建造物がそれぞれ登録される見通しとなっている。
遊行寺は「踊念仏」で知られる時宗の総本山として、1325(正中2)年に開山。本堂は1923(大正12)年の関東大震災などで倒壊した建物の部材を再利用しつつ、1937(昭和12)年に再建されたもので、桁行梁間ともに30m規模の大堂は「総本山寺院らしい荘厳さと華麗さを備える」と評価されている。そのほかに選ばれたのは、明治前期の「小書院」や「宇賀神社」、昭和初期の「鐘楼」や「百間廊下」など。
月山堂滴水庵は明治後期の建築で、元は三井財閥の益田孝(鈍翁)の別荘。後に別人の手にわたって解体され、1960(昭和35)年ごろ現在の場所へ移築された。茶室を備え、庭に対し開放的な作りで上質な数寄屋建築とされる「主屋」、自然の曲り材を使い奇想に富んだ「待合」、ナグリ材を使うなど草庵の正門としての風情を醸す「大門」が選ばれた。
関次商店は旧東海道の旧家、関野家から分家した初代次右衛門が、1870(明治3)年に藤沢宿で構えた米穀・肥料問屋。同店の「穀物蔵」は86(明治19)年、「肥料蔵」は1907(明治40)年の建築で、どちらも内部では半割丸太を各柱間の横方向に入れ込んで荷摺木(にすりぎ)とする特異な技法を持つ。登録基準のうち「再現することが容易でないもの」として選ばれている。
今回答申された建造物は、遊行寺の一部施設の外観などが公開されているほかは、すべて非公開。
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