4月1日付で湘南海上保安署署長に就任した 和田 聡明(としあき)さん 江の島勤務 57歳
無事帰宅見守る海の父
○…江の島島内に拠点を置き、鎌倉市から湯河原町までの海上を管轄する海上保安庁第三管区海上保安本部湘南海上保安署。江の島での勤務は、2001年まで籍を置いた同署前身の「湘南マリンパトロールステーション」以来2度目となる。「名称も変わり、ヨットハーバーも新しくなったが、魅せられて海に向かっていく人たちの心は昔のまま」と懐かしむ。
○…管区内での「死亡事故ゼロ」を目標に掲げ、他団体と連携を図りながら、海保が長年培ってきたノウハウを駆使して救命活動を行う。「海のレジャーには危険がつきもの。どんな場合でも事故に遭うリスクはあり、無事に帰宅するための備えが大切」と訴える。そのために海に関わるイベントに出向き、ライフジャケットの着用や防水携帯電話の所持といった自己救命策の啓発も行っていく。
○…東京都出身。幼いころ、造船会社に勤務していた父と見た迫力ある大きな船に魅せられた。就職活動中、偶然見つけた海上保安官の募集。縁を感じて入庁した。救命活動のみならず、密漁の取り締まりや銃器薬物の摘発など豊富な経験の中で、救出した遭難者から感謝される嬉しいことや、行方不明者捜索の打ち切りを家族に伝える辛いこともあった。湘南では事故を防ぐため、マリンレジャーの種類別遊泳エリア分けの自主ルール作りに深く携わったことも。「マリンスポーツ発祥の地・湘南が全国の手本となるよう、地元の声を聞きながらルールの見直しも相談していきたい」と早くも熱意を見せる。
○…管轄する5市4町の沿岸は年間約100万人が遊泳に訪れる人気エリア。12人の部下とともに海利用者の安全を守る。物腰柔らかな落ち着いた口調、大柄な体格から「湘南署の頼れる父」といった印象。「みんなのモチベーションが上がるようメリハリをつけ、コミュニケーションをしっかりとりたい」と、家族を見守るように目を細めた。