藤沢版 掲載号:2017年1月6日号

グリーンハウス2階

玉屋食堂 50年の歴史に幕 文化

親子2代にわたり愛され

店主の古郡一家。(左から)弟の泰彦さん、治男さん、啓子さん、その子どもと孫ら県職員から送られた表彰状と写真を手に
店主の古郡一家。(左から)弟の泰彦さん、治男さん、啓子さん、その子どもと孫ら県職員から送られた表彰状と写真を手に
 保全改修に伴い、善行のグリーンハウス2階の「玉屋食堂」が1月末をもって閉店する。親子2代、50年にわたり県職員や競技人の胃袋を満たしてきた店主の古郡一家は、「とても寂しいけれど、たくさんの出会いがあった。感謝の気持ちでいっぱい」と語る。

 「玉屋食堂」は、もともと先代の古郡勲さんが藤沢本町で営んでいたが、県教育センターの職員から出店を持ち掛けられ、1966年に営業を開始。その後、71年にグリーンハウスへ移転し、県職員をはじめ、合宿所や競技場などを利用する人々で賑わった。食券を購入してからオーダーするセルフ方式で、カレーやラーメン、丼など、厳選した素材を使ったコストパフォーマンスの良い食事や手軽さが好評だった。

 70年代は夏になるとプール開場に伴い、1日に1000人を超える人が食堂を利用し、大行列をなしたという。勲さんの長男で、現店主の治男さん(65)は、「合宿利用とプール開きが重なると、本当に忙しくてジュースも冷える前からどんどん売れた。今もたまに『子どものころプール帰りに食べたよ』っていう人が来てくれて嬉しい」と語る。

 グリーンハウスは、高名な建築家・アントニン・レーモンドが設計を手掛け、現存するクラブハウスとしては国内最古となる。しかし、「実は88年に新聞で紹介されるまで、そんなすごい建物だとは知らずに営業していた」と笑う。

家族の歴史ずしり

 両親が亡くなるまで、姉兄弟の家族5人で食堂を切り盛りしてきた。出産後、1カ月足らずで食堂に戻ったという姉の岡田啓子さん(67)は「2人の子どもはここでゆりかごを揺らして育った。今では孫もよく手伝ってくれて、この食堂には家族の歴史が詰まっている」と目を細める。最近は、閉店の噂を聞きつけた人々が続々訪れ、「勤務時代にお世話になった。ご一家に会えなくなるのが寂しい」と惜しむ声が寄せられている。先月は県職員から、花束や表彰状、写真が贈られた。「何事も無く、営業を終えられることに安堵している。永きにわたって可愛がられ、本当にありがたい」

 営業は1月31日(火)まで。午前10時30分から午後2時30分(月曜定休)。日曜は車両での入場は不可。

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