藤嶺学園藤沢中学校・高等学校の校長に就任した 佐野 健(つよし)さん 58歳
生徒の「心のふるさと」に
○…創立102年を迎えた藤嶺学園藤沢中学校・高等学校の校長に、4月1日付で就任した。「長い歴史の重みを感じる。中学、高校時代は人としての根幹を養う時期。将来、社会に貢献できる多くの若者を育むという責任に身が引き締まる思い」と語る。生徒には、校歌に唄われている「至誠」や「勇猛精進」の精神を大切にしてほしいと願う。「真心を持ち続けることや、志を絶え間なく持って精進する大切さが表現されている。よく理解して日々を過ごしてもらえると嬉しい」
○…東京に生まれ、幼少期は現在の山梨県南アルプス市で過ごした。文学が好きで、特に中学時代に授業で出合った石川啄木の短歌の数々に心を打たれた。「人間の弱さ、強さ、悲哀、逞しさなど、さまざまなものが描かれていて、文学に一層興味が湧いた」。国語の教師を志すようになり、大学の恩師の紹介で同校に着任。以後36年にわたり、藤嶺一筋で多くの生徒を育てている。
○…短歌だけでなく俳句にも惹かれ、教師になってから本格的に句作を始めた。俳句愛好家団体に所属して創作を続けているほか、年2回、市民俳句大会での選者も務めている。家族との旅行では、文学者にゆかりのある土地を訪ねるのが好きだという。「鹿児島県で俳人・篠原鳳作の句碑を訪れたり、小泉八雲が教師として勤めていた島根県松江に行ったりしたのが良い思い出」と語る。
○…教師冥利に尽きるのは、卒業後に時折来校する教え子たちが、当時、懸命に指導した教えを、今でも大切に心に留めてくれていることだ。「公立と違い、多くの先生が同じ学校に長年勤められるのが私学の魅力の一つ。生徒にとって、いつ帰って来ても先生と再会できる『心のふるさと』であり続けたい」と話す。今後も「自らの手で新しい時代を切り拓き、夢の実現のため努力を続ける若者を育てていく」と言葉に力を込めた。
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