9月17日の「ふじさわパラスポーツフェスタ」で開会のあいさつを行う 辻村 琢光さん 湘南工科大学附属高校3年
パラ卓球の頂点めざし
○…パラスポーツの体験や選手との交流を通じて、競技への理解を深めてもらおうと、9月17日に初開催される「ふじさわパラスポーツフェスタ」。パラアスリート代表として、開会式のあいさつを任された。「人前で話すのは苦手。でも、これをきっかけに、まだ知名度が低い障害者卓球を知ってもらい、卓球を始めてもらえたら嬉しい」。
○…10歳の時、小児がんの骨肉腫を発症して以来、右上腕には人工関節を入れている。「当時は幼かったので『がん=死』だと思ってショックだった。でも、泣いたのは1日くらい」。術後は右腕も使えたが、骨折してしまい、現在は右腕に装具を装着している。「走ったら階段でこけて、右腕を打ってポキッって折っちゃった。今も折れたままだけれど、そんなに不便でもないかな」。持ち前の明るさであっけらかんと話す。
○…南足柄市出身。利き手を左に変えて13歳で卓球を始め、着実に実力をつけてきた。その後、卓球の名門・湘南工科大附属高校へ進学し、仲間と分け隔てなく練習に励み、切磋琢磨している。昨年は、パラ卓球における国内最高峰の大会「国際クラス別パラ選手権」に出場。クラス9でリオ五輪の代表選手に敗れるも、第4位に輝き、今年から日本代表として海外遠征に参加している。オランダやイタリア、ドイツなどを巡り、海外のパラ選手と激しい打ち合いをしてきた。「外国人は体格も大きくてパワーも強い。これが世界かと思った。こんな身体の使い方もあるんだなと勉強になる」。スペイン大会では個人ベスト8に入り、団体戦では銀メダルに貢献した。
○…日本体育大への進学が決まっている。「東京五輪で金メダルを獲りたい。自分は技術があるわけではなく、勝ちたいという一心で、粘り勝ちするタイプ。でも、悪い意味で緊張感が無いので、それが課題かな」と屈託なく笑う。底抜けの明るさとポジティブさで、パラ卓球の頂点を目指す。