鵠沼神明在住の会社員・西岡奈緒子さん(36)の作品『暖かい手』が、作家・壺井栄を顕彰する「二十四の瞳岬文壇エッセー」の最優秀賞に輝いた。生まれつき筋ジストロフィーという病気を抱える西岡さんは、中学時代の経験を書き下ろした。
この選考会では、「別れ・弁当・仲間」のいずれかをテーマにエッセーを公募。国内外から1008点が寄せられ、作家のあさのあつこさんらが各賞を選出した。
昔から階段では手すりが必要で、現在は車椅子生活を送っている西岡さん。「仲間」をテーマに、原稿用紙4枚に中学時代の経験をまとめた。病気についてクラスメートに伝えられないもどかしさや戸惑い、孤独感、手を差し伸べてくれた友人との交流を静かなタッチで描写した。
あさのさんからは、「人と人との関係がべたついてなく、さらりとしていて、それなのに相手をしっかりと支え、励ましている。読んでいて何と心地よかったことか」と評されたという。
「暖」に「友」の字
作品名は「温かい」ではなく、あえて「暖かい」と表した。「単に手の温もりを感じたからではなく、 私を包み込む世界が変わったかのような、暖かさを感じたというニュアンスを入れたかった」と西岡さん。また、「執筆を勧めてくれた夫が『暖』の字の中に、『友』の字が入っているねと教えてくれて」と微笑む。
「ひとりじゃない」
メーカーに務める傍ら、エッセーを書き続けているという西岡さん。2008年にはNHK主催の選考会で最優秀賞を受賞、昨年まで福祉関連サイトで連載を行ってきた。そのほか、今年2月には、「第18回愛恵エッセイ賞」で優秀賞、「インターネットの安心安全な利用に役立つ手記コンクール」で最優秀賞に輝くなど、その才能を開花させている。
共通して込めているのは、「ひとりではない」いうメッセージだ。西岡さんは、「病気を抱えて孤独を感じている人に、人とのつながりを感じてほしい。私の文章を通じてマイナスからプラスに変えていくことを伝えられたら」と話している。
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