アンサンブル21かまくらの女性史編さん部会の部会長を務める 横松 佐智子さん 長谷在住 65歳
55歳から鎌倉を知る
○…市と市民団体アンサンブル21との共同で企画・制作されてきた「かまくらの女性史」。集大成となる第4集がこのほど出版された。編さん部会の部会長を7年前より務めており、第1集より編さんに携わっている。「10年かけてまとめてきたこの女性史は私たちの自信作。多くの方に手に取って欲しい」と語る。
○…千葉県生まれ。幼いころから建築物に興味があり、日本女子大学で住居を専攻、卒業後は一級建築士として活動していた。夫の親戚が湘南地区に多いこともあり、鎌倉に越してきたのは27年前。仕事を続けながら2人の息子を育て上げた。「当時は仕事に追われていて、鎌倉には寝に帰るだけ。街のことは隣近所くらいしか知らなかった」と苦笑い。55歳のとき、「仕事以外の生活も充実させたい」と思い、勤めていた建築事務所を早期退職。自宅で個人事務所を構えた。そんな折、市の広報で「女性史編さん員募集」の記事を見つけ、応募。30人を超える仲間とともに、編さん活動を開始した。「初めてのことばかりで毎日が勉強。55歳から鎌倉での人生がスタートした」と振り返る。
○…女性に関する活字資料はほとんど残されていないため、編さんの主な手法は「聞き書き」。取材を進める間にも当時の様子を知る人たちが亡くなるなど、状況変化に「歴史が消えていくと焦った」とし「私たちが記録を残さなくては」と使命感に燃えた。当初の予定にはなかった第2集以降も、編さん員が市にかけあい実現。「30代後半から90歳くらいまでの女性が激論を交わすの。すごい迫力で、一人だけいた男性メンバーはびっくりしたみたい」と笑った。
○…現在は夫と2人暮らし。油絵を趣味にしており、昨年初めて市の美術展に出展した。「今の取り組みが落ち着いたら、絵に力を入れようかな」とにっこり。「集めた女性史の資料を一般閲覧できるようにしたい」と今後について語った。