「突っ張り棒」の設置・普及に取り組む鎌倉ガーディアンズの副代表 片瀬 都志夫さん 岡本在住 63歳
人の喜びを力に変えて
○…地震が発生した際、家具の転倒を抑止する「突っ張り棒」の無料設置を行う防犯・防災ボランティア「鎌倉ガーディアンズ」。責任者として普及に取り組んでいる。東日本大震災以降、津波対策は進む一方で「揺れそのものから身を守る防災が進んでいない」と感じていた。そこで目を付けたのが「突っ張り棒」。「手軽だしお金もかからない。この活動が全国に広がってくれたら」と語る。
○…すでに30件近い依頼があり「ニーズはあると思っていたけれどここまでの申し込みは想像以上」と手応えを感じている様子。不動産業の経験を活かし、設置現場では家具下にストッパーを入れて滑りにくくするほか、天井に当て板をするなど転倒しにくい様々な工夫を取り入れている。1年限定の予定でスタートした事業だが「必要とされるならば延長することも検討したい」と話す。
○…静岡県出身。30代の初めに友人の飲食店を手伝うため、鎌倉に移った。09年の夏、ガーディアンズの結成を目指していた代表の大津定博さんから「防犯ボランティア団体をつくるのでぜひ参加してほしい」と持ちかけられた。面識はなかったものの「必要な取り組みだと思った」と参加を決めた。団体の設立当初からイベントの警備や史跡の見守りなどに携わる。市内の高齢者施設で働きながら、民生委員や町内会長も務めており、休日もないような忙しさが続く。それでも「人に喜んでもらえるのが何よりの原動力。大変だと思ったことはないよ」と朗らかに笑う。
○…5年前に妻を亡くし現在は一人暮らし。栄区に住む小学1年生の孫娘が訪ねてくるのが何よりの楽しみだ。「最近、自分が生かされている、と感じることが多くなった。その人の運命は誰にも分からない。だからこそ、今を一生懸命に生きるしかない」。「必要としてくれる人がいる」。そのことを喜びと力に変え、今日も地域を飛び回っている。