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取材協力/医療法人沖縄徳洲会 湘南鎌倉総合病院 医療レポート【1】 増加する「前立腺がん」の治療法とは 内視鏡手術支援ロボットを導入
2010年9月に市内岡本に移転した湘南鎌倉総合病院(塩野正喜院長)。鎌倉市をはじめ近隣地域の中核的な総合病院としての役割を担う。同院が診療に注力する疾病の一つが、近年患者数が増加傾向にある「前立腺がん」だ。治療への取り組みについて同院の医師に取材した。
「前立腺がんは早期であれば根治が期待できます。また、他のがんと比べ治療方針の選択の幅が広く、症状の進み具合や患者さんの年齢、健康状態などによって治療法を選ぶことができます」と同院泌尿器科部長の三浦一郎医師は話す。
比較的早期の発見でがんの転移が見つからなかった場合、同院の主な治療法の一つが前立腺摘出術だ。
日本における前立腺摘出術は現在、開腹もしくは腹腔鏡手術を用いるのが一般的とされている。しかし、狭い骨盤の奥にあり、近くに細かい血管や尿道括約筋、勃起神経などが密集している前立腺の手術は、術中の出血や術後の勃起障害、尿失禁といった合併症を引き起こす可能性があり、高い技術が要求されるものだった。
高度な手術が可能に合併症のリスク軽減
同院では、10年ほど前にアメリカで開発され、昨年4月に日本でも保険診療に認可された内視鏡手術支援ロボット=下写真=を、同年6月に新たに導入し、9月から運用を開始した。
アメリカではこのロボットによる手術が標準術式となっており、導入するまでは開腹術式を採用していた同院における前立腺摘出術も、現在は全てこの術式を用いているという。
医師が内視鏡で高解像3次元の拡大・立体映像を見ながら3本のアームを遠隔操作する手術ロボットは、人の手首以上の可動域を有し、狭い隙間でも自由に器具を扱える。手ぶれ除去機能で繊細な手術が可能となり、合併症の危険性が従来よりも格段に減ったという。
また、輸血を行うことが多かった開腹手術と比べ、ロボットでの術式は小さな穴を数カ所開けることで出血を抑えられるため、患者の身体的負担の軽減が望めるようになった。
同院では、「ロボットによる手術は、これまでに腹部手術を多数行っている人や緑内障を患っている人には適用できません。受診時にはかかりつけ医師の紹介状をお持ちください」としている。
世界標準の医療施設に認証
救命救急・外国人患者受け入れも強化
同院は1988年11月に徳洲会グループ25番目の病院として市内山崎に開院、2010年9月に現在の岡本に新築移転した。48診療科、574病床を有し、湘南地域の中核的総合病院としての役割を担っている。
救急医療体制の確保・向上にも注力する。10年・11年度と同院に救急搬送された患者の入院受け入れ件数は2年連続で国内最多。今年4月には神奈川県から、民間病院として初となる救命救急センター指定を受け、「断らない救急」を実践する。今後、救命救急センターや手術室の拡張も視野に入れる。
また、昨年10月には国際的な医療施設評価機構である「JCI」の認証を全国4番目に、今年3月には外国人患者受け入れ医療機関の認証(JMIP)を全国で初めて取得。「生命だけは平等だ」という理念哲学のもと、より質の高い医療の提供を目指している。
「おかしい」は病気のサイン
泌尿器科部長 三浦一郎医師
―泌尿器科とはどのような診療科ですか。
「腎臓・膀胱・尿道・前立腺などの排尿に関連した病気や、男性生殖器・ホルモン異常を来す副腎といった臓器を扱う、生活に関連した幅広い診療をします」
―前立腺肥大症と前立腺がんは関係があるのですか。
「全く違う病気です。どちらも腫瘍ではありますが、前立腺肥大症は転移しません。また、肥大症が進行してがんに変わることもありません」
―病気の早期発見には。
「尿が出にくい、時間がかかる、漏れてしまうなどは様々な病気のサインでもあります。排尿に不安を感じたらまずは泌尿器科に相談にいらしてください」
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