鎌倉版 掲載号:2013年10月11日号

設立60周年を迎えた鎌倉ばら会の会長を務める

金子 常郎さん

大町在住 87歳

「絆」は一輪のバラから

 ○…「花はもちろん、アレンジメントした作品や絵画などバラにまつわる作品なら何でも展示オーケーな自由な会なんです」と来週末に開催する「秋の展示会」について話す。年2回の展示会はコンクールを兼ねており、毎回100を超える作品が出展される。「審査種目が多く、展示が賑やかなのがうちの会の特徴。1等になる作品は本当に美しいよ」と目を細める。

 ○…東京都出身。父親が趣味で園芸をやっていたことから、幼い頃から生活に花があるのが当たり前だった。20歳の時、空襲で思い出の庭園も含め全てを焼失。「家財道具も昔の写真も、何もかもがない」極限の状態で知人を頼りに鎌倉へ。終戦後は大学に通いながらアルバイトで生活を支えた。そんな折、親戚の誘いで日本ばら会に入会。同会から貰ったバラの苗を裏庭に植えた。「触り出すと止まらなくなってね」と花への思いが蘇ってきたという。溝を掘って水はけの悪さを解消するなど次第に世話に夢中になっていった。

 ○…「一度は大会に出そう」と28歳の時、唯一育て続けていた「ルバイヤート」一輪を日本ばら会のコンクールに出展。仕事帰りに会場に足を運ぶと、英国種部門で入選していた。「全く期待してなかったからびっくりした」と振り返る。その後同展の出品者たちが「鎌倉ばら会」を結成。設立2年目から活動に参加した。「当時は最年少だったけど今は僕が一番の物知りだな」と笑う。約20年前に会長に就任。「バラが好き」という思いで集まった会員45人をまとめている。

 ○…昨年、妻が他界し現在は一人暮らし。庭では約200種のバラを育てており、水やりだけで3時間かかることも。「手をかければかけるほど花も応えてくれる。花と”絆”のようなものが生まれる」と話す。たった1束の苗から始まったバラと人との絆。その鮮やかな花弁のように、これからも人生を彩っていくに違いない。
 

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