「第3回四季を感じる鎌倉料理コンテスト」プロ部門で最優秀賞を受賞した 齋藤 かおりさん 極楽寺在住 43歳
料理の可能性に挑む
○…しらすやアカモク、鎌倉野菜といった地元の山海の幸を、色鮮やかな巻き寿司に仕上げた「カマクラロール」で、「鎌倉料理コンテスト」(鎌倉商工会議所主催)プロ部門の最優秀賞を獲得した。受賞を聞いた瞬間は「まさか自分が、と本当にびっくりしました」と素直な驚きを口にする。
○…実は8月に自らの店をオープンさせたばかりで、プロの料理人としてのキャリアは2カ月あまり。コンテストを知ったのも、開店の相談に訪れた商工会議所でたまたまパンフレットを目にしたのがきっかけだった。この時点で締切まで2週間ほどしかなかったが「鎌倉の食材を勉強するいい機会」と応募を決意。最後の数日はほぼ徹夜でレシピを作り上げた。円覚寺で行われた最終審査では実際に調理も。「緊張で手が震えて、うまくトッピングできなかったり、反省点ばかりです」。それだけにうれしい「まさか」となった。
○…美大を卒業後、大手精密機器メーカーで時計のデザイナーとして活躍。パッケージやディスプレイまでトータルに手がけ「仕事は本当に充実していました」と言う。一方で「自らの手で作ったものをお客様に直接提供したいとずっと思っていました」。もともと食べることも料理を作ることも大好き。ついに19年勤めた会社を退職し、料理の世界に飛び込むことを決めた。極楽寺で見つけた中古住宅を改装し、和食をベースとした創作料理の店「かお鎌倉極楽寺」をオープン。完全予約制で器や盛り付け、店内空間にまでこだわった料理を提供している。
○…新たなステージへの挑戦は「今も不安ばかりです」と言う。そんな気持ちを奮い立たせてくれるのは、やはり目の前にある笑顔。「ある時、『美味しいね』といってお客様が拍手までしてくれたんです。うれしくて涙が出そうになりました」と微笑む。その瞬間を追い求めるため、料理という「完成のない世界」での試行錯誤は続く。