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取材協力/湘南鎌倉総合病院 医療レポート【2】 「患者さんの生き様に寄り添った医療を」 「腎臓病総合医療センター」の取り組み
湘南、鎌倉エリアの中核的総合病院として地域医療を支える湘南鎌倉総合病院(鎌倉市岡本、塩野正喜院長)は昨年4月、従来の腎免疫血管内科(腎内)と血液浄化部(透析)、腎移植外科、泌尿器科の4科を統合し「腎臓病総合医療センター」を立ち上げた。「患者さん本位の医療」を目指すこの取り組みを湘南鎌倉総合病院副院長で同センター長の小林修三医師に聞いた。
高レベルの医療、効果的に提供
――なぜ「腎臓病総合医療センター」を立ち上げたのでしょうか?
小林センター長(以下、小林) まず腎臓の病には、様々な種類があります。従来は患者さんが腎臓の病気で病院に来て、腎炎は内科で診るけれども腎臓ガンは泌尿器科が診る、ということがよくありました。
また残念ながら病気が進行して、腎臓の働きが失われてしまった場合、血液をきれいにする血液透析(HD)、または腹膜を利用した腹膜透析(PD)、さらには移植という3つの選択肢があります。この場合も、透析は腎臓内科、移植は外科が担当するというケースがありました。
しかし患者さんにとって体は一つです。そこでレベルの高い医療をより効率よく、速やかに提供するために、腎臓内科、血液浄化、腎移植、泌尿器科のそれぞれの専門家が協力する体制を整えました。
――現在、力を入れている医療を教えて下さい。
小林 最近、患者さんが増加しているのが前立腺の病気ですが、この治療に力を発揮しているのが「内視鏡手術支援ロボット」(=下写真)です。
日本ではまだ150施設ほどしか導入していない機械ですが、これにより患者さんへの侵襲が少なく、前立腺の治療がものすごくやりやすくなりました。
また「予防」も重要なテーマです。私たちは「腎臓病にならない、腎臓病を進めない、腎臓病で命を落とさない」をモットーとして掲げていますが、「ならない」ために最も重要なのが早期発見です。
そのために必要なのは、尿の検査を定期的にしてもらうということです。
医療が進み、きちんとした検査を受けて積極的な治療を早く行えば、糖尿病ではない人の腎臓病の慢性腎炎はもうほとんど進まなくなっています。
その証拠に、血液透析にいたる患者さんは毎年約2万人いますが、慢性腎炎の方は20年以上減り続けています。つまり早く発見して適切な検査をすれば、腎臓病で命を落とさない時代になったということです。
当院では一般の方に分かりやすくお伝えする「腎臓病教室」を定期的に開催していてそこでもよくお話しするのですが、実は慢性腎臓病の治療の途中で心筋梗塞や脳梗塞で亡くなる人が多い。つまり慢性腎臓疾患は、心臓や脳血管の病気の危険因子になります。
それが尿の検査を受けて腎臓病が見つかれば、早期に治療を受けることができるわけですから、ぜひ定期的に尿の検査を受けてほしいですし、ご家族で心配な方がいらしたら勧めて頂きたいと思います。
「地域から腎臓病患者なくしたい」
――治療の際に心がけていることは。
小林 その人の生き様に即した医療を提供したい、ということです。血液透析や腹膜透析、移植といった治療は、最後まできちんと見守り続けるための「オプション」です。
患者さんの生き様を尊重し、最後まで寄り添って診るための医療をモットーとして、これからも取り組んでいきます。
――今後どのような治療を目指して行きますか?
小林 私の夢は、この地域から腎臓病が進んで透析になる人をなくすことです。それは私たちだけではできません。地元の開業医の皆さんとパートナーシップを結んで、さらに深めていく。両者が一体となって、地域から透析になるような人をなくしたい。もうそれが十分可能になって来ています。
ほかには小児腎臓病への取り組みや検腎移植についての展開もより広げていきたい。また我々は免疫やアフェレシス(血液浄化療法)の専門家として、ギラン・バレー症候群や重症筋無力症、潰瘍性大腸炎、クローン病、膠原病などの難病治療を行っています。
特に膠原病のSLE(全身性エリテマトーデス)は比較的若い女性に多い病気です。早期に発見すれば治療の手だてがあるので、生理異常、微熱、関節痛などの異常がある場合、ぜひ相談してほしいですね。
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