鎌倉市海水浴場が7月1日に海開きを迎える。開設期間は8月31日までの62日間。鎌倉市は事業者との間で定めた海の家の新たな営業ルールの徹底と、海水浴客の利用マナー向上を求める条例を二本柱に、安全な海水浴場の実現を目指している。
「鎌倉市海水浴場のマナーの向上に関する条例」案は、開会中の市議会6月定例会に提出され、6月19日に行われた観光厚生常任委員会で可決された。27日に予定されている本会議最終日で採決される。
同条例では9項目の「迷惑行為」を明記。海水浴場の開設期間中は海岸を市職員と委託の警備員が巡回し、迷惑行為が確認された場合は声をかけ改善を求めていくという。
また市は今年2月、海浜事業者と協議し「クラブ営業の禁止」などを含む海の家の営業に関する新たなルールを設けた。海の家で行われるイベントに関しては、事業者や自治会関係者で組織する審査会で内容を事前に審査。これまで3回の審査会が行われ、200件以上のイベントの内4件を実施不可と判断したという。
ある海の家の経営者は「ルールを作ったのだからそれをどう守っていくか。今年が大事になる」と話す。
市への苦情が3倍に
「酒に酔った若者が騒いでいる」「刺青を露出した客が多く怖い」。昨年夏、鎌倉市にはこうした苦情が31件寄せられた。これは前年の10件に比べ約3倍。窃盗や傷害・暴行といった犯罪の発生件数(被害届の受理件数)も、前年の7件から15件に増えた。
そのため鎌倉市では、罰則なども盛り込んだ条例の制定を検討。しかし近隣住民を対象に行ったアンケートでは、市が提示した音楽イベントの全面的な禁止に対しては賛否両論が示されたほか、憲法に定める営業の自由、表現の自由に抵触する可能性もあることなどから、利用者のマナー向上を促す条例の制定に方針を転換した。
一方、海岸近くの住民や店舗には、厳しい規制を望む声も。由比ヶ浜海岸の近くでコンビニエンスストアを経営する男性は「20年近く営業してきたが、最近明らかに客層が変化している」と話す。特に昨年は、店の中での客同士のケンカや駐車場で深夜まで騒ぐ、ゴミの放置、立小便などの行為が相次いだという。
今年は逗子市が海の家での音楽イベントの全面禁止を含めた条例を設けたこともあり「鎌倉は規制が緩いととられて、さらにルールを守れない若者が来るのでは」と危惧する。また条例や営業ルールが海岸での行為のみを定めたもののため、「近隣に流れたり帰り道で羽目をはずす若者が増えるのでは」と話した。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|