鎌倉市は市立稲瀬川保育園(小池明美園長)と材木座保育園(大本ゆう子園長)を移転、統合し由比ガ浜に新たな公立保育園を建設する計画を進めている。両園が大地震の際、津波による被害が想定されているためで、8月19日には初となる保護者向けの説明会が行われた。建物の設計は白紙の状態だが、保護者からは情報の開示や意見の反映を求める声が聞かれた。
19日に材木座保育園で開催された説明会。10人ほどの同園保護者と6人の市担当職員、同園長と主任が教室で車座になって行われた。現状では建物の設計は白紙状態のため、両園の移転や統合に至った経緯、移転予定地、おおまかなスケジュールやその検討体制などが写真を交え説明された。
終了後質疑応答の時間が設けられ、保護者からは東日本大震災の教訓を踏まえた建物の設計を望む声や、今後のスケジュール、情報の開示を求める声が聞かれた。大本ゆう子園長は「家から遠くなる人もいるだろうが、子どもの命を預かる立場からすると移転は賛成」とし、保護者の1人は「今日の説明会で移転の目的がわかって良かった。これからも前向きに保護者として関わっていきたい」と話した。
津波対策で民営化撤回
鎌倉市では2006年、市内5地域に公立保育園をそれぞれ1園ずつ配置し、それ以外の公立保育園3園を民営化するとした鎌倉市保育園民営化計画を策定した。この計画に沿って08年に山崎保育園、12年には寺分保育園を民営化、15年度以降に材木座保育園の予定だった。
しかし、東日本大震災後に国や県が行った南海トラフを震源とする巨大地震や、首都直下型地震による津波被害の想定が、従来より広範囲かつ短時間で到達するものだったため、想定浸水範囲に立地する両園の現在の場所での保育園運営は適切でないと判断。2017年度の両園の移転と統合保育園の建設が今年4月に第3次鎌倉市総合計画第3期基本計画前期実施計画に記載された。
由比ガ浜に統合園建設
計画では旧鈴木邸跡地と呼ばれている由比ガ浜3丁目の面積約3500平方メートルの市有地に定員180人規模の3階建ての統合保育所、子育て支援センターおよび障害児放課後余暇支援施設からなる複合施設を建設し、地域の子育て支援の拠点として活用するとしている。屋上を設け、非常時の津波避難ビルとしても活用される予定だという。
こどもみらい部の福谷次長は「材木座保育園のこれまでの経緯には紆余曲折があったが、子どもの命には代えられない。保護者とともに、使いやすい園を作っていきたい」と話した。
今後、両園の保育士や保育課、こどもみらい課の職員によるプロジェクトチームを設置し、設計条件や統合保育園における運営のあり方について検討を進めていくという。また、今年度中に既存建物解体や地質調査を行い、その後設計業務に着手するとしている。
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