「ドメインは財産。慣れ親しんだメールアドレスをずっと使わせてほしい」。地元ケーブルテレビ局が提供してきたインターネットサービスのドメインが、事業者の合併により使用できなくなる可能性があるとして、市民団体が存続を求めて活動している。事業者はこのほど、1年間の移行期間に加えて最低3年間、有償で使用を延長する措置を決めた。
市民向けIT講座などを開催する特定非営利活動法人「鎌倉シチズンネット」(鍋島久夫理事長)は、昨年11月以降、「@kamakuranet.ne.jp」(以下、鎌倉ネット)のドメイン(ネット上のグループを管理するための名前)の存続を求めて活動している。
「鎌倉ネット」は2000年、(株)鎌倉ケーブルコミュニケーションズのインターネットサービスで使用が始まった(委託先は富士ソフトABC)。2007年に同社の経営権はジャパンケーブルネット(株)に移り、社名も(株)JCN鎌倉となったが、JCN独自のネットサービスと並行して、鎌倉ネットのドメインによるサービスも継続されてきた。現在、契約者は9452人、アカウント数は1万3017に上る。
そんな鎌倉ネットの廃止は、昨年4月にジャパンケーブルネット(株)と(株)ジュピターテレコム(ジェイコム)が合併したことをきっかけに検討が始まった。ジェイコムが存続会社となったことで、JCN鎌倉が(株)ジェイコム鎌倉へ名称を変更するなど、ブランドの統一が進められている。
ドメインもその一環で、旧JCN南横浜局のエリアでは昨年10月、「1年間の移行期間を設けた上で、ジェイコムのネットサービス(ZAQ)へ移行する」ことが利用者に通知された。
市民団体が存続訴え
こうした動きを受け、「鎌倉ネットも利用できなくなる可能性がある」として、同団体は昨年11月、メールアドレスがSNSや銀行、通販などのサービス利用に必須な「財産」となっている現状や、鎌倉という名前が入った愛着あるドメインであることを理由に、ジュピターテレコムに鎌倉ネットの存続を求める要望書を送付。同12月の市議会に、株主である鎌倉市から存続を働きかけるよう求める陳情を提出し、総務常任委員会で採択された。
これを受けジュピターテレコムは「鎌倉ネット」について、1年間の移行期間終了後、さらに有償で3年間使用できる措置を決定。1月26日に利用者に連絡した。「移行期間」は2016年1月31日までの予定。その後の有償期間は月額数百円の負担になる見込みという。同社神奈川ブロックの担当者は「市民に愛されたドメインだということが改めて分かり対応を決めた。有償利用の期間は延長ができないか、引き続き検討していく」とする。
一方、鎌倉シチズンネットは「十分なITの知識がない高齢者などに、大きな混乱が起こる可能性がある。事業者は負担や影響を考えてほしい」として、有償期間の延長など引き続き存続を訴える考えだ。
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