県はこのほど、4月1日時点の待機児童数を発表した。それによれば、鎌倉市は昨年より5人減ったものの50人で、県内ワースト4位となった。11市町が「待機児童ゼロ」を達成するなか、鎌倉市ならではの課題も見える。
県が6月5日に発表した「保育所等利用待機児童数の状況について」によれば、4月1日時点の県内の待機児童数は625人。5年連続の減少で、最も多かった2010年度以降、初めて1千人を下回った。
保育所や認定こども園、小規模保育事業所など411カ所が整備され、定員が約1万2100人(前年比10・3%)増加したことが主な要因。川崎市や相模原市、平塚市など11市町が待機児童ゼロを達成した。
鎌倉特有の課題も
市内の待機児童数は、昨年に比べて5人減ったものの50人となり、茅ケ崎市(115人)、藤沢市(83人)、秦野市(51人)に次いで県内でワースト4位となった。
その最大の原因は、保育ニーズの増加だ。市内の0〜5歳人口は11年の8185人に対し14年度は7936人と減少傾向にある一方、認可保育所の入所児童総数は11年度の1995人から14年度の2241人に、利用率も24・4%から28・2%へと伸びた。市保育課は「働く女性が増えていることに加え、保育所等が新設されたことにより希望者が新たに生まれる『ニーズの掘り起こし』も起こっている」と分析する。
ただ、保育施設の新設には鎌倉特有の課題が立ちはだかる。待機児童が18人と市内で最も多い鎌倉地域では、大地震の際、津波の到来が予想される海岸に近いエリアは用地の候補にできないうえ、交通量の多さなどの観光都市ならではの問題もある。また国が定める施設や園庭の広さを満たす土地そのものが少ないため、施設の設置には高いハードルがある。
市保育課は「現時点で同地域に保育所等が新設される具体的な計画はない。由比ガ浜に建設される統合保育園で低年齢の受け入れ枠を増やすなどして対応できれば」としている。
市内在住の30代の女性は09年、2人目の妊娠を機に東京都内から鎌倉市への転居を決め、フルタイムで働きながら当時2歳だった長男の保育所探しを始めた。都内では、約8千人もの待機児童が社会問題化。「鎌倉は待機児童が44人と聞き、それほど苦労せずに入所できるのでは、と思っていた」と振り返る。
しかし年度の途中だったこともあり、保育所探しは難航。結局、保育施設の内定が出たのは引っ越し直前だった。「たとえ待機児童数が1人でも、それが自分だったら仕事には行けない。切実な問題だと痛感した」という。
17年度待機児童ゼロへ
市は、子育てをめぐる課題解決に向けた取り組みとして、今年度から「こども・子育て支援新制度」の運用を開始した。
3歳未満児を受け入れる2つの「小規模保育事業所」が運営を始めるなどしており、17年度までの「待機児童ゼロ」を目指している。
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