鎌倉市議会議長に就任した 前川 綾子さん 浄明寺在住 55歳
「議論のための環境作りを」
○…6月10日に開会した市議会定例会で、議長に選出された。女性議長の誕生は市政初。「プレッシャーはありますが、時代が変わってきたことの表れだと思う。副議長の吉岡和江さん(共産)とも力を合わせて、まずは市民に分かりやすい運営を心掛けたい」と意気込みを語る。
○…二階堂で生まれ育った生粋の鎌倉人。大学卒業後、広告代理店勤務を経て1987年に結婚し、一男一女に恵まれた。長男が小学生の時、鎌倉市PTA連絡協議会の会長を務めた。「実はこの時も初の女性会長でした」と笑うが、これが人生の転機に。働きを見た知人から「女性の目線で教育、子育てに取り組んでほしい」と市議選への出馬を打診された。「それまで普通の主婦で、政治の知識は全くなかった。文字通りのたうちまわって悩みました」。それでも「自分の経験が活かせるなら」と立候補を決意。2005年に初当選を果たし、3期目を迎えた現在まで教師、保護者、子ども、それぞれの立場を思いやる「共育」の実現に力を注いでいる。
○…議員になって以来、「相手に伝わるまで、きちんと話すこと」を心がけてきた。議員提案により成立、今年1月に施行された「議会基本条例」では議員間討議が明記されるなど、議会でも議論のあり方、質を高める取り組みが続く。「立場や信条が違えば、当然意見も違ってくる。異なる意見をぶつけ合いながら、課題に対する答えを見つけられる環境づくりを進めたい」と言葉に力を込める。
○…子どもの頃から「動物や植物が大好き」。特に鳥がお気に入りで、図鑑を眺めては庭を訪れる小鳥たちの名前を覚え、さえずりで種類が分かるようになった。現在も時間があれば、ガーデニングやバードウォッチングを楽しむ。「イライラしている時でも、鳥の鳴き声が聞こえてくると、やっぱり気持ちが和らぎますね」。そう言うと柔らかな微笑みを見せた。