鎌倉市はこのほど、2016年度予算案の概要を明らかにした。一般会計は大型事業がピークを越えたことなどから4年ぶりに前年度を下回ったものの、引き続き600億円を上回る規模に。子育て・教育環境の整備を目指し、津波避難ビルの機能も備えた複合子育て施設「(仮称)由比ガ浜こどもセンター」の建設工事に着手するほか、 20年の東京五輪を契機に予想される観光客の増加への対応に重点を置いた編成となっている。
松尾崇市長は2月1月、記者会見を開き市議会2月定例会に提案する16年度予算案の概要を発表した。
それによれば行政運営の基礎的な経費で、予算の中心となる一般会計は607億8320万円。前年度当初予算に比べ5億8080万円(0・9%)の減少となった。今泉クリーンセンターの改修や大船中学校の改築などの大型事業が一段落したことなどから、4年ぶりに前年度を下回った。
ただ下水道や国民健康保険、介護保険事業などの特別会計は、529億4千万円で前年度当初予算に比べ31億1560万円(6・3%)の増加となり、一般会計と合わせた予算総額も2・3%増の1137億2320万円となった。
松尾市長はこの日の会見で「市民の皆さんが安全で安心な生活ができるよう重点施策を積極的に進めつつ、新規発行市債額を前年度以下に抑制するなど、堅実な予算編成に努めた」とし、重点施策として「子育て・教育環境の整備」「防災・安全」「東京五輪に向けた環境整備」を挙げた。
子育て関連では、岡本2丁目のマンション計画跡地に子育て支援施設を建設するための基本設計を進めるほか、学校からの距離が課題となっている西鎌倉・岩瀬子どもの家を西鎌倉小学校と今泉小学校に移転、津波避難機能も備えた複合施設(仮称)由比ガ浜こどもセンターの建設工事に着手することなどを盛り込んだ。
教育関連では、19年度中の小中学校全校設置を目指して中学校7校に冷房設備を設置、中学校給食の17年度中の全校実施に向けた準備を進めるとした。
また防災面では、災害時の情報通信手段の確保を目的に公衆無線LANの整備範囲拡大、防災行政用無線のデジタル化、消防団の装備改善と団員の処遇改善に取り組む。
20年の東京五輪を契機に予想される、観光客増加への対応も本格化させる。経営企画部内に特命担当職員を配置。外国語版パンフレットやホームページの開設、Wi-Fi環境の整備など積極的な情報発信とともに、観光案内所の移設や公衆トイレの整備、鎌倉駅東口駅前広場の改修に向けた検討開始など、インフラ整備にも取り組むとしている。
「戸別収集の経費計上しない」
新年度の予算編成では、ごみ処理施策をめぐる大きな転換があった。松尾市長は1月27日、市議会全員協議会で「16年度予算に戸別収集関連経費を計上しない」方針を明らかにした。
戸別収集は、ごみ減量策として有料化とともに導入が検討されてきた経緯があり、市は昨年10月に「18年度中に全市で実施する」と発表した。
しかし議会では費用の増加に対する懸念が根強く、モデル事業が行われている七里ガ浜など3地区での先行実施を目指して市が提案した補正予算案が12月定例会で否決されるなど、当初の予定通りに実施することが困難となっていた。
松尾市長は「引き続き実現へ努力していくが、課題解決のためのさらなる検討や住民の理解が必要で、今任期中の実施は難しいと判断した」と話した。
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