第4回FACE展2016で優秀賞を受賞した 三鑰 彩音さん 材木座出身 28歳
「自分の表現突き詰めたい」
○…新進画家の登竜門として知られる第4回FACE展2016で優秀賞を受賞した。作品名は『曖昧』。自画像をモチーフに、感情の揺らぎを表現した。現在は多摩美術大学大学院の1年生で、これまでも積極的に個展の開催やコンクールへの応募を続けてきた。同コンクールへは3度目の挑戦。「おばとの旅行中に受賞の知らせを聞いて。驚きと嬉しさで一杯でした」と笑顔で振り返る。
○…材木座出身。中学・高校時代はバスケに打ち込むスポーツ少女。アートの道に進む転機となったのは将来のことを考え始めた高校3年生の時だった。「母が美容師だったのでその道も考えたが同じは嫌だった。モノ作りが好きだったから美大に行こうと思った」と一念発起。ある日、学校が終わるとその足で美大受験学校を訪問し、家に帰り両親に直談判したという「思い立ったら行動派」だ。
○…美大受験にあたっては日本画を選択。しかし、ゼロからのスタートで5浪の末に現在の大学に入学した。それでも、その間にアルバイトや1人旅など、多くの経験を積んだことが今に生きているという。「ひとつのことにのめり込み、力を入れすぎる自分の性格を客観視することができた。得意なことを伸ばしていけばいいんだと学んだ」。予備校最後の1年間の学費はアルバイトで捻出したことも自信につながった。
○…絵具や、キャンバスとなる和紙、麻紙の話になると熱がこもる。「大和絵が日本画と呼ばれるようになったのは、ここ100年くらいのこと。枠にとらわれず、鉱物や虫など、自然のものからできる日本独自の画材を使った表現を追求したい」と自分の中の軸は確立したようだ。現在は修了制作と展示の準備に奔走中。卒業後については「まだわかりません」としながら、「日本の画材の魅力を海外の人に伝えたい。これからも何らかの形で絵に関わっていきます」と凛とした表情で前を見つめた。