今年4月に発覚した生活保護費盗難事件について、調査を進めている鎌倉市がこのほど、市議会に中間報告書を提出した。それによると、生活福祉課に所属していた50代の男性職員が受給者から預かった現金3万8千円を自宅に持ち帰っていたほか、職員が受給者に対し独自に現金を貸し付けていた実態などが明らかになった。
鎌倉市は9月16日、生活保護費支給事務に関する不適切な事務処理についての中間報告書を市議会観光厚生常任委員会に提出した。
それによると、生活福祉課に所属していた50代の男性職員が、生活保護受給者から預かった現金3万8千円を自宅に持ち帰っていたことが、生活保護費盗難事件に関連した市の聞き取り調査で判明したという。
この職員は、担当する受給者に臨時収入があり、その分を市の会計に戻すために毎月5千円ずつ現金で受け取っていたが、「手帳に挟み、そのことを失念していた」という。8月に発覚した後、現金は返還された。
ほかにもこの職員は、受給資格のなくなった対象者に対し、2013年12月分から14年4月分までの領収書に受給者を装って氏名の記入や押印をし、生活費を支給し続けていた。そのため市は7月1日、鎌倉警察署へ「有印私文書偽造、同行使」で告発。22日に書類送検されている。
独自の貸付も
また、生活福祉課では1カ月分の保護費を使い果たしてしまった受給者などに対し、公金ではなく職員自らが現金を出し合って貸し付けていた実態も明らかになった。その額は5万円ほどで、翌月分以降の保護費から返済させるようにしていたという。この現金は盗難にあった保護費と同じキャビネットに保管されていた。ほかにも、新規相談者に対して必要に応じて社会福祉協議会が貸し付ける「緊急援護貸付金」や同課の親睦会費などが保管されていたという。
こうした一連の不祥事を受け市は、早ければ12月、遅くとも来年3月までには職員の処分について結論を出すとした。
この事件は昨年8月、生活福祉課のキャビネットに保管していた現金約265万円がなくなっていたもの。市は盗難事件として鎌倉警察署へ被害届を提出したものの未だ犯人特定には至っておらず、警察の捜査や市の内部調査の過程で、杜撰な事務処理が次々と明らかになっている。
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