鎌倉市役所本庁舎は建設から50年近くが経過し、施設の老朽化や災害対応などが課題となっている。そのため市は今年度末をめどに、建て替えや移転などを見据えた「整備方針」の策定を目指している。専門家による委員会が発足したほか、公募市民らが参加する話し合いも行われており、10月10日にはワークショップが開催された。
災害対応など課題
現在の市役所本庁舎は、1969年に竣工。建設から50年近くが経過し、施設の老朽化や狭隘化が顕著になっている。
また東日本大震災後の想定見直しで、最大クラスの地震により津波が発生した際には、敷地の一部が浸水すると予測されている。その一方で、配電設備が地下に設置されているなど津波災害への脆弱性が以前から指摘されており、対策が急務だ。
市はこうした課題を解決しながら、本庁舎の機能更新を図るため「現在地での建て替え」「現施設の長寿命化」「ほかの用地への移転」などを選択肢として、今年度末までに立地や機能に関する「整備方針」の策定を目指している。
専門家や各種団体からの推薦を受けた代表者らによる「策定委員会」が設置され、8月に第1回会合が開かれたほか、市役所内でも検討体制が組織された。
さらに市民の目線や感覚を取り入れるとともに、本庁舎整備に向けた課題を共有してもらおうと「市民対話」を実施。メンバーは市が無作為に抽出し、参加を希望した人や市内の高校・大学に通学する人で、今年度中に5回程度の開催が予定されている。
公募市民が話し合い
「市民対話」の3回目の会合で、通常の参加者に公募市民や大学生を加えた「協働・拡張ワークショップ」が10月10日、市役所第3分庁舎で開催された。
この日のテーマは、午前の部が「未来の本庁舎にあなたが求めるものは何ですか?」、午後の部が「現在の本庁舎の場所にあったらいいと思うものはなんですか」。参加者らは5〜6人ずつ6つのテーブルに分かれ、活発に意見を交わした。
まず現在の本庁舎の印象については「暗い」「近寄りにくい」「目的がなければ行かない」などが多く、未来の市庁舎には災害対策拠点などのほかに「市民が集える場所」「文化・歴史を継承する場」「観光客のおもてなし施設」が必要とする意見が出された。
また「観光客の多い駅東口に対し、西口は生活に近い場所。市民の利用を考えた施設を」という声も多く、地域の特性を生かすために「NPOの活動拠点」「郷土資料館や博物館など歴史・文化を伝える学習施設」を求める意見があがった。
一方で「ベンチがたくさんある公園」や「宿泊施設」をあげて「観光と市民生活の両立を目指すべき」や「スペースを民間に貸し出せば雇用や活力を生み出せる」といった意見も。「時代に合わせてレイアウトを柔軟に変更できるような施設に」といった、アイデアが出される場面もあった。
市民対話のメンバーで由比ガ浜在住の箕浦量太郎さん(16)は「自分の声が市政に反映できるかもしれないと思い参加した。無駄なお金を使うことなく、今より親しみのある施設ができてほしい」と話していた。
この日の意見は策定委員会にも伝えられ、検討に反映されるという。
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