鶴岡八幡宮境内にある旧神奈川県立近代美術館鎌倉館本館が、県重要文化財に指定される見通しとなった。11月に開催される県教育委員会で正式決定する。保存活用を訴えていた市民からは喜びの声が上がった。
「カマキン」の愛称で親しまれ、今年3月末に惜しまれつつも閉館した旧県立近代美術館鎌倉館本館。10月18日に開催された県文化財保護審議会で「県重要文化財への指定が適当」との答申があり、来月開催される県教育委員会で正式決定される見通しとなった。
同館は、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエのもとで学んだ坂倉準三の代表的な作品。戦後日本のモダニズム建築の傑作と評価されており、1951年に日本で初めての公立近代美術館として開館して以来、多くの市民や美術愛好家らに親しまれていた。
今年7月に世界遺産に登録されたル・コルビュジエの国立西洋美術館や坂倉が設計したパリ万国博覧会日本館と密接な影響関係が見られ、高い学術的価値や歴史的価値を持つことなどが評価された。
解体から保存へ
県は当初、鶴岡八幡宮との借地契約が今年の3月末に切れることから、建物を解体したうえで土地を返還する方針を示していた。
しかし市民による署名活動などを受けて昨年9月、老朽化が進み耐震性などに問題のある学芸員棟と新館棟は取り壊すものの本館棟は保存し八幡宮に引き継ぐことを発表した。
市民から喜びの声
県重要文化財指定の知らせを受け、市民からは喜びの声が上がった。
「カマキン」の閉館と建物撤去の方針を受けて、2014年5月から6月にかけて保存を訴える署名活動を有志3人で行い、約1万6千筆を県や市に提出した横松佐智子さんは「県の指定を受けると聞いてとてもうれしい。多くの市民に親しまれるような建物の活用をしてもらえれば」と話していた。
現在、学芸員棟と新館棟の撤去工事が進んでいる。八幡宮によると建物の活用方針については現在検討中だという。
鎌倉版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|