教員志望の学生たちに税について深く考えてもらおうと、鎌倉税務署が議論とシミュレーションを中心とした租税教室を11月14日、鎌倉女子大学で初めて開催した。関係者は「主体的に学ぶことで論点が明確になったと思う。将来先生になったとき、授業に生かしてほしい」と期待を込める。
これは、同大学教育学部で教養講座を受け持つ鈴木樹教授が「税について深く主体的に学んでもらおう」と発案したもの。アクティブラーニングと呼ばれる手法で、鎌倉税務署(奥脇貞美署長)が東京地方税理士会鎌倉支部(栗原英信支部長)の協力を得て開催した。
当日は大船キャンパスに通う教育学部生115人が参加。8人ほどの「消費税村」と「所得税村」に分かれ、ひとつの税制のみで生活し、その村を運営するというシミュレーションを行った。
学生たちはじゃんけんの勝敗で所得を決定し、生活費や村の運営費を支払ったほか、同支部メンバーの税理士たちの助けを得ながら税金を納付。余った金額は貯蓄に回し、一定期間後の各人の資産や村の財政状況を比べた。
すると、それぞれの税制で個人間の収入格差や村の資産額に傾向が出た。その後の全体討議で講師から「どちらが公平な税制だと思うか」と問いかけられると、「所得税は収入が多い人ほど不公平感が高いが、村全体の貯蓄が増え、所得の低い人にもお金を回せる」「消費税はみんな同じ額を納めるという公平感があるが、所得の低い人にとっては負担が大きい」といった立場を超えた意見が活発に交わされた。
参加者の一人、吉野由希子さん(4年)は「税制によってこれほど違いが出るとは思わなかった。税を身近に感じ、公平さとは何かを考える機会になった」と振り返り、鈴木教授は「将来、授業で税について話すとき、今日学んだことを活かしてもらえれば」と話していた。
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