鎌倉市は市内在住の写真家、笹本恒子さん(102)を市政功労者として表彰することを決め、11月24日に市役所で表彰状を贈呈した。これは笹本さんが、優れた業績を残した写真家に贈られる「ルーシー賞」を10月に受賞したことを受けたもの。日本初の女性報道写真家と言われる笹本さんは、その歩みを振り返るとともに「本当にありがたい」と喜んだ。
ルーシー賞は2003年にアメリカで創設。優れた写真家に贈られる世界的な賞として知られ「写真界のアカデミー賞」とも言われる。笹本さんは10月23日、同賞の「ライフタイム・アチーブメント部門賞」(生涯にわたる業績)を受賞した。
これを受けて鎌倉市は、笹本さんを市政の発展に功績のあった「市政功労者」として表彰することを決定。11月25日には市役所で表彰状を贈呈した。
松尾崇市長から賞状を手渡された笹本さんは「思いもかけず立派なものを頂戴し、本当にありがたい」と感謝を述べた。
初の女性報道写真家
笹本さんは1914(大正3)年生まれ。もともとは画家を目指して新聞社で挿絵などを描いていたが、40年に報道写真の道へと転じた。戦後はフリージャーナリストとして世界中を飛び回り、「日本初の女性報道写真家」とも言われる。
鎌倉に住むようになったのは2年ほど前。102歳を迎えた現在も撮影やエッセイの執筆などに忙しい日々を送っている。年齢を重ねても様々なことに興味を持ち前向きに生きるその姿は、数々の書籍やテレビ番組等で紹介されてきた。
そんな笹本さんが撮り続けてきた被写体の一つが、明治に生まれた女性作家や画家、歌人たち。「参政権もなく女性が大変な不公平を強いられた時代に、家事や育児に追われながら絵を描き、文章を残してきた女性たちを、何とか残したいと思いました」と言う。
取材したいと思った人がいれば手紙を書き、直接電話をしてアポイントを取り付けた。「おかげで会いたいと思った人にはほとんど会えました」。こうして画家の三岸節子や歌人の斎藤史、歌手の淡谷のり子ら時代を彩った女性たちをフィルムに収めてきた。
写真家としての歩みを振り返り「特別なことはしていません」と微笑む笹本さん。「これからもできることはなんでもやりたい」と仕事への意欲は今も衰えていない。
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