7月に予定されていた鎌倉花火大会の中止がこのほど決まった。運営の中心的役割を担ってきた市観光協会に対する鎌倉市からの補助金約4600万円が今年度予算から削除されたことを受けて、同協会が実行委員会からの退会を決定。実行委は「時期が迫っており、契約や協賛金の募集などを行う観光協会が参加しないなかでの実施は難しい」と判断した。
鎌倉花火大会が始まったのは1948年。以後、天候不順による中止や東日本大震災が発生した2011年を除いて毎年開催されてきた。水中花火などが人気となり、昨年は約15万人が来場。69回目を迎える今年は、7月19日に開催が予定されていた。
大会は鎌倉市や商工会議所、海浜事業者、鉄道会社などで組織される実行委員会の主催で、市観光協会は事務局として運営の中心的な役割を果たしてきた。
2月議会で補助金削除
しかし同協会をめぐっては、運営する観光案内所が昨年10月に移転した際、多言語対応の強化などを理由にそれまで働いていた職員の多くと契約を更新しなかったことが「雇い止めにあたる」と指摘されている。
市議会2月定例会では、この問題を審議するために議会が理事会の議事録と就業規則の提出を要求。これに対し同協会は「公開を前提としておらず、発言が制約される可能性がある」としてこれを拒否している。
結局、両者の主張は平行線をたどったまま、市議会は市17年度当初予算案から、同協会への補助金約4600万円を削除する修正案を可決した。
これを受けて同協会は4月5日に理事会を開催。「削除された補助金は職員の人件費や事務所家賃にあてるもので、このままでは運用資金を夏まで維持することは難しい。事務局としての責任を果たすことができない」として、花火大会実行委員会からの退会を決めた。
この決定は実行委で報告され、委員から異論は出なかったという。
時期ずらし開催も
同協会と実行委は10日、会見し「代わりに事務局を担える団体を探すことは難しく、現状としては7月の実施は見送らざるを得ない」と説明。一方で「見送りを決めたのは7月の実施で、時期をずらしての開催について可能性は否定しない」とした。
ただ花火大会を実施するための総予算は「昨年ベース」で約3700万円。このうち市の補助は安全対策費負担金と事業負担金として約970万円で、残りは同協会が企業、個人から募集している協賛金約2千万円で賄ってきた。実行委員の一人は「協賛金は観光協会だからこそ集められたものだ」と話した。
同協会の井手太一会長は「問題解決のため引き続き努力していく」として、19日に開催される理事会で対応を協議する予定とした。
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