今年で69回を数える鎌倉花火大会を「環境に優しい大会にしよう」という取り組みが始まっている。市内の寺社や山林から出た間伐材を炭にした上で火薬に加工した「地産地消型花火」を打ち上げるもので、今後は水質浄化作用をもたせたり、魚のエサになる材料の使用も検討中という。関係者は「花火大会を通じて鎌倉の環境意識の高さを世界にPRしたい」と話す。
この取り組みは、市観光協会が進めているもの。同協会の理事を務める鈴木弘明さんは、協会が主体となって開催してきた花火大会への協賛が伸び悩む現状に「より鎌倉らしさを打ち出し、市民や企業の皆さんから賛同してもらえる花火大会にしなければ、長く継続していくことは難しいと感じていた」と振り返る。
そこでたどり着いたのが「環境に配慮した花火大会」というコンセプト。炭製品を製造・販売する「鎌倉すざく」((株)ベルウッド、市内長谷)を経営する鈴木さんは、市内60カ所以上の山林をボランティアとともに管理し、里山環境を守るために伐採した間伐材を炭製品に加工している。そのノウハウを、花火の製造に生かすことにしたのだ。
今から4年前、趣旨に賛同した浄智寺(山ノ内)の境内で切り出した竹や雑木を炭に加工。それをもとに火薬玉を作ることに成功し、2014年の大会で「地産地消型花火」約20発が、初めて鎌倉の夜空に打ち上げられた。完成した花火は「和火」とも呼ばれ、線香花火を思わせるような橙色が特徴という。
「よりエコな花火に」
翌15年こそ悪天候で大会自体が中止となったが、16年に続き今年も、この「地産地消型花火」20発が、浄智寺の協力により打ち上げられる予定。
同協会は今年度、実行委員会から退会しており、来年以降もどのように花火大会にかかわっていくのか、現在のところ決まっていない。ただ鈴木さんは、引き続き「環境に優しい花火大会」に向けた取り組みを進めたい考えだ。
今後は寺社だけでなく、街路樹の剪定材、前年度の花火から出たごみの再利用、オフィスから出る紙、飲食店で使用済みの割りばしなどを炭の材料にするほか、海中に落下する玉皮に水質浄化作用をもたせたり、魚のエサにもなる素材を使うことなどを検討している。鈴木さんは「東京五輪が開催される2020年にはほとんどの花火を『環境配慮型』にして、鎌倉の環境意識の高さを世界にPRできたら」と話している。
第69回鎌倉花火大会は、7月19日(水)、午後7時20分から8時10分まで行われ、2500発が打ち上げられる(雨天や高波の場合は中止)。「エコ花火」の問い合わせは同協会【電話】0467・23・3050へ。
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