映画上映会「文化に触れる『男はつらいよ第1作』誕生物語」が1月13日(日)、茅ヶ崎市役所分庁舎6階コミュニティホールで開催される。イベントで「男はつらいよ」の舞台裏を語る大嶺俊順監督(78)=富士見町在住=に往年の日本映画の魅力について話を聞いた。
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大嶺監督は、「男はつらいよ」をはじめ50本以上の映画の助監督や監督、脚本、を手掛けてきた。
演劇の世界に飛び込んだのは早稲田大学在学中。学生劇団「自由舞台」に入団し、演出を務めた。1960年、早稲田大学を卒業。タイミング良く松竹の大船撮影所で「助監督」の募集を見つけて応募。15人の採用枠に1500人の応募があったが、難関を勝ち抜き「演出助手室」に入所した。
2000年に同撮影所が閉鎖するまでの40年間、小津安二郎監督や山田洋次監督など、映画界の重鎮と共に作品づくりに力を注いだ。
映画づくりの面白さ
「就職した当時は映画くらいしか娯楽がなかった時代。観客数も今より多くてね」と振り返る。最盛期には、観客数が年間11億人以上にのぼり、当時の人口で割ると一人当たり年12回強、映画館に足を運んでいたことに。「映画館で立ち見は当たり前だったんだよ」
印象深い作品の一つが「寅さん」。テレビドラマの最終回で「寅さんはハブに噛まれて死にました」そんな展開に抗議が殺到し、映画化されることになったとか。作品づくりのおもしろい裏話が次々上がる。
誰もが憧れる映画界。しかし「現実は思い描いていた世界とは全く違った。ただただ、忙しい。幼い娘に『パパ、また来てね』なんて言われてね」。それでも、映画から離れられなかった。
その理由の一つは「封切の瞬間」。一般公開の初日、観客と一緒に映画館で自分の手掛けた作品を観る。「お客さんの溜息や笑い声、反応がダイレクトに伝わる」。時には「つまらん」と、席を立つ人もいた。「あれは、とても言葉にならない」
語り継ぐ邦画
当時の松竹映画の魅力を聞くと、「人が苦労して生きていく姿を描いていることかな」。そして、「フィルムの良さ」も。フィルムは、画面の一点にピントが絞られ、「監督が何を撮りたいのか」が明確に表現できるという。また、簡単に撮り直し出来ない「緊張感」も魅力の一つだ。
「映画の魅力を語り継いでいこう」と現在、定期的に市立図書館で開催される「湘南映画上映会」に参加。毎回、大船撮影所の仲間をゲストに招き、撮影の裏話を披露している。「来年もできる限り頑張るよ」
また、同時進行でドキュメンタリー作品を製作中。一生現役を貫く「湘南の映画人」だ。
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