農地の上に間隔を置いて並ぶ太陽光発電用パネル――。農業と創エネの両立を図った県内初の試みが、市内西久保の「五郎兵衛コミュニティーパーク」で始まった。取り組みを支えるのは、NPOと農家の一致した想いだ。
同パークを管理する市民団体代表で農業を営む鈴木國臣さんは、この場所で農作物の栽培を行っており、水の汲み上げにかかる電力の自給を目指していた。そこで、市内で太陽光発電所を2所設立するなど、自然エネルギーの普及に実績のあるNPO法人「ちがさき自然エネルギーネットワーク(ちがさきREN)」に相談したところから、今回の取り組みが始まった。
同団体代表の上野ひろみさんは、「当初は一般的なパネルでの発電を考えていたが、維持費などの面で負担が少なくない。そこで出会ったのがソーラーシェアリングだった」と振り返る。
ソーラーシェアリングとは、太陽光を作物栽培と発電で分け合う仕組み。パネルの隙間から光が地表に降り注ぐため、農業と創エネ・売電を両立できるとして近年注目を集めている。
上野さんらは千葉県にあるソーラーシェアリングの実証実験場に足を運び、実態を確認。コスト面でもメリットがあることから、導入を決めた。工事は自分たちの手で行うなどし、約130万円の費用で4月に発電所が完成。水の汲み上げにかかる電力を除いて年約16万円の売電収入が見込めるという。現在、パネルの下に広がる約10m四方の畑には、サツマイモと里芋が植えられている。
上野さんは、「日本は食料とエネルギーの自給率が極めて低い。ソーラーシェアリングは、この両方を高められる可能性がある」と期待を示す。鈴木さんは「電線とつなぐ必要のあるソーラーシェアリングは、茅ヶ崎のような都市型農業に向いている。ここから持続可能な農業につながっていけば」と話す一方で「豊かな自然環境をいかに昔のまま残すかという視点も大切。行政にも環境とエネルギーのバランスの取れた施策を期待したい」と提言する。
ちがさきRENでは寄付を募集中。また、発電所の見学も受け付けている。問い合わせは上野さん【電話】0467・73・0545へ。
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