3月14日(土)、市民講座を初開催する「湘南がんサポート委員会」の委員長を務める 引野 雅子さん 東海岸南在住 36歳
感謝と恩返しを胸に
○…「医療には限界がある。がん患者さんやご家族には医療以外のサポートが必要なんです」。湘南エリアのがん患者と家族が集まり情報交換や気分転換をする場を作ろうと「湘南がんサポート委員会」を2013年に組織。内科医である自身に加え、看護師や介護士などの賛同を得て昨年6月、待望の語りの場「湘南がんサロン コクア会」を開催、3月14日(土)に初の市民講座開催にこぎつけた。
○…会を立ち上げるきっかけは研修医時代に遡る。救急患者の治療にあたりながら、がん患者らをサポートする緩和ケアの存在を知り内科医へと進んだ。7年前から新栄町の内山クリニックに勤務し、訪問診療を主に昼夜を問わず診療にあたる。しかしがん患者同士が病院とは別に地元で集まれる場所が湘南に必要だと感じていた。「研修医時代に支えてくれた患者さんたちへの恩返しですね。それに父の最期を看取れなかった償いもあるかも」。父の勧めで医師を目指した。研修中何度も挫折しそうになりかけた心を支えてくれたのが患者たちだった。
○…生まれは九州。研修医として働き始めたのを機に茅ヶ崎へ。現在は5歳の娘と夫、夫の両親と実母の6人暮らし。白衣は身につけず普段着で診療するスタイルに加え、大きな瞳のやさしい眼差しや、物腰の柔らかい語り口が包みこむような安心感を与える。しかし始めたら掘り下げないと気が済まない頑固な一面も。「好きな時間にできるから」と始めたマラソンも、湘南国際に出場するほどに。「暇がダメ。じっとしていられなくて」
○…「患者さんたちをサポートできる一番大きな力があるのは同じ病の人」。本当に必要なのか考えたこともあったが「来てよかった」の一声で必要性を再認識した。医師への道を示してくれた父や、医師として育ててくれた多くの人たちへの感謝を胸に、患者や家族から寄せられた要望の実現を目指す。
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