創設者として51年務めた湘南幼児学園園長を退く 外岡 富久枝さん 常盤町在住 82歳
「みんないい子、愛してる」
○…51年前に自身が創設した幼稚園「湘南幼児学園」を退く。最後の卒園式を終え、「特に今年は泣く子どもが多かった。思い出の詰まった園舎がもうすぐ取り壊され、いろいろと悲しいのかな」としんみり。寂しさばかりでなく、「大切なお子さんたちをお預かりしてきた長年の責任を終え、正直ほっとしている」と、今は安堵も入り混じった複雑な心境だという。
○…6人兄妹の4人目として生まれ育つ。幼いころから歌やピアノが得意で、その才能を生かせる職業として幼稚園教諭の道を選んだ。結婚を機に茅ヶ崎に移り住んだが、飾らず明るい性格で園児や保護者から人気を集めていたこともあり、出産後も園長からの強い願いを受けて勤務していた都内の園まで通い続けた。成長した息子の入園先を茅ヶ崎で探していたが気に入った幼稚園に巡り合えず、「自分で園を開いてしまおう」と一念発起。汐見台の自宅横に「湘南幼児学園」を創った。
○…当初は8人の園児からスタート。目の前に広がる砂浜や松林だけでなく、自宅も保育の場として使った。「子どもはのびのびとした遊びの中で、たくさんのことを学ぶ」。この教育方針が支持され、これまでに約5千人が園を巣立っていった。「でぶっちょ先生」の愛称で園児から親しまれ、自身も園児の名前を聞けば性格や思い出が浮かぶほど、1人ひとりに深い愛情を注いできた。
○…「みんないい子だね、愛してるよ」。園児へ投げかけると大喜びするという、魔法の言葉だ。「好きな職業をここまでやってこられたのは、子どもの笑顔と保護者の理解、先生たちの協力があったから。本当にありがとう」。閉園の話を聞きつけた保護者が園名と教育方針を受け継ぎ、2年後に新たな園舎で園を再開させることが決まった。「時々は覗きに行こうかな」とにっこり。優しく温かい声が、これからもどこからか聞こえて来そうだ。
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