県が開発した新品種トマト「湘南ポモロン」を市内で初めて栽培した 野崎 寿一さん 下寺尾在住 32歳
トマトの先の笑顔求めて
○…昨年市内の畜産農家とコラボ商品を考えていたところ、市から依頼を受け「湘南ポモロン」を初めて栽培した。「病気にかかりやすい品種なので育てるのが大変だったが、希少価値があるのでこれからも大切に育てたい」。このほど畜産農家や和菓子店と協力して湘南ポモロンを活用した商品開発を行い、ビーフシチューやゼリーが完成した。「商品を通じてトマトの美味しさが多くの人に伝われば」と笑顔を見せる。
○…農家の5代目として両親とともに野崎農園を支えている。父の代からトマト農家となり、追い求めているのは「糖度と酸味のバランスがとれた味の濃いトマト」。気温も日照りも同じ年はないため、湿度の微調整など毎日が苦労の連続。試行錯誤を重ねた結果が毎年収穫時期に形となって現れる。市場出荷のほか自宅で直売を続けており「消費者の顔が見えてやりがいにつながる。美味しいと言ってもらえた時がうれしい」と目を細める。
○…3兄弟の長男として生まれた。「今と変わらず幼い頃からおとなしい性格だった」といい中学、高校では野球部に所属。両親から家業を継がなくていいと言われたが、農作業を手伝う中で自然と「自分が継ぎたい」と決意が芽生えた。中央農業高へ進学すると、農家の後継者に囲まれる環境で決意が固まり、東京農大短期大学部でも農業の基本を学び20歳で就農した。
○…「トマトの栽培はマニュアル化されているので企業の進出もある」「自由貿易化が進み野菜の価格が下がるのでは」と農業を巡る動きに危機感を覚えつつも生き残りを模索している。販路を広げようと昨年は、トマトを加工したジュースを開発し販売。「6次産業化を進め、味や品質を上げて地域に根を張っていきたい」と決意を新たにする。面白いアイデアを持つ、周りの同世代の農家たちにも刺激を受け「この時代だからこそ工夫と情熱を持ち続けたい」と展望を語った。
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