茅ヶ崎市富士見町の児童養護施設「白十字会林間学校」(伊藤忠彦理事長、山川信人施設長)が創立100周年を迎え、11月23日に関係者を招いて記念式典を催した。結核予防を目的とする寄宿制私立小学校として始まり、現在の学校法人平和学園の母体ともなった同施設の歩みを振り返る。
白十字会林間学校は、1917(大正6)年に結核予防団体の社団法人白十字会が設立した。同法人の林止(とどむ)医師は当時、結核療養所だった南湖院に勤務。虚弱児を健康に育てることで結核の発症を予防する目的で、空気が良い場所で生活・勉強する寄宿制の小学校設立に宮腰信次郎理事長らと情熱を注ぎ、当時周辺に建物もなく松林の繁る富士見町を選んだ。
虚弱児施設から児童養護施設へ
児童数8人から始まった同校。1939年には120人を超えたが、戦争を経て9人にまで減少。47年に虚弱児施設を併設する私立小学校となり、地域の子どもたちを受け入れるようになった。空いた寄宿舎を教室にして平和女学校、平和中学校、平和幼稚園、平和高等学校を開設。48年に土地建物を譲り受けて社団法人から分離し、49年に平和小学校を設立した。後に学校を運営する学校法人平和学園と養護施設を運営する財団法人白十字会林間学校(70年に社会福祉法人に変更)に分かれた。また48年に寮舎を教会堂に日曜礼拝を始めたことが茅ヶ崎平和教会(茅ヶ崎市出口町)の前身ともなった。
医療の発展で結核児が減少したことなどにより、白十字会林間学校は98年から、さまざまな事情から家庭で生活することができない子どもたちを養育する児童養護施設に変わった。近年も施設退所後の青年の自立を支援する「湘南つばさの家」の運営や市受託の子どものショートステイ事業など事業の幅を広げている。約1600人の出身者には、古典芸能や大学教授、作家として活躍している人もいる。
「一人ひとりに愛情を」
記念式典は平和学園の賀川村島記念講堂で100年を振り返る映像鑑賞や関係者によるリレートークなどを行い、その後会場を白十字会林間学校に移して記念植樹や子どもたちのステージ発表など感謝の会が催された。山川信人施設長は「子どもたち一人ひとりに異なる事情や考えがある。その思いを大切にしながら、結果を求めることなく愛情を注いでいきたい。多くの方のご支援で100年を迎えることができた。今後もその思いに応えられるよう努めていく」と話す。
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