今季を物語った横断幕「責任は監督だけにあらず」
11季ぶりに掴んだ夢舞台もわずか3勝に終わり、再びJ1昇格を目指す厳しい戦いに挑んだ湘南ベルマーレ。14人の新加入選手を迎え心機一転、1年での復帰をかけたシーズンとなったが、終わってみれば12勝10分16敗の14位。昇格どころか下位に低迷した今季を、サポーター団体「EL FRENTE SHONAN」の代表、大久保祐三さんと振り返った。
3月6日、平塚競技場―。ユニフォームの胸にスポンサーはなく、ピッチを二重に取り囲んでいた広告看板も激減した。華やかなJ1の舞台から、J2に戻ってきた現実を改めて突きつけられたサポーターも少なくなかったはずだ。
しかし選手たちは、胸のすくような戦いを披露した。先発メンバーの半数近くが新加入選手という中、鹿島から期限付き移籍の佐々木が2ゴールを挙げるなど5得点の完封勝利。最下位に終わったとはいえ、J1でもまれた経験が決して無駄ではなかったと感じさせる試合だった。
チームは、東日本大震災による約1ヵ月半のリーグ中断後も好調を維持。得点こそ少ないものの、昨季リーグワーストの82失点で課題となっていた守備は立て直され、6月4日の岐阜戦を終えるまで9試合で失点は3。派手さはないものの堅実な試合運びで、順調にJ1への道を歩んでいるかに見えた。
ところが、当時勝ち点1差で上位争いをしていた栃木に今季初の複数失点で敗れると、J2に昇格したばかりの鳥取、徳島に立て続けに4失点を喫するなど、まさかの5連敗で失速。それまでの堅守が嘘のように、瞬く間に失点数が得点数を上回り、昇格争いから脱落した。
上位との対戦に完敗の印象はなく、むしろ互角以上の戦いを見せた今季。ハングギョン、永木、高山、遠藤など若手の台頭も目立った。一体、何が足りなかったのか。大久保さんは「皆が同じ方向を向いて戦えなかったことが、この結果を招いたのでは」と、選手の大幅な入れ替えによる結束力の欠如を指摘する。
一方、反町監督の退任に続き、シーズン終盤に発表された”湘南の太陽”アジエルの退団は、サポーターにとって悲しいニュースだった。大久保さんは「昇格の立役者と、こういう状況でお別れするのは歯痒くて仕方ない」と悔しさをにじませた。
来季の課題は「試合結果、経営、集客、あらゆる面で”安定”が求められる」。昇格を果たした一昨季のような選手の気迫を感じられる試合は少なかった。残念ながら光明を見出すことはできず、再び暗黒の時代をさまようことになるのではという不安さえ感じる。「責任は監督だけにあらず」。ホーム最終戦でサポーターが掲げた横断幕の言葉が、重くのしかかった。
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