平塚地区そば商組合の会長を務める 大久保 繁幸さん 菫平在住 63歳
蕎麦に情熱注いだ半生
○…「1年の締めくくりは縁起の良い蕎麦を食べて、元気に年を越してほしい」と、笑顔を向ける。現在26店舗が加盟するそば商組合員は、月1回の会合で業界活性や商売繁盛のアイデアを出し合う仲だ。「食の多様化を迎えている今、日本の伝統である蕎麦の良さを伝えていきたい」と意気込む。
○…菫平にある創業50余年のそば屋『若竹』の2代目。少年時代から学校や部活の合間を縫って、店の手伝いをこなした。「当時は人手不足で。おにぎりをくわえながら出前に走ったこともあったよ」と笑う。中学を出てすぐ店に入り、今は亡き父の背中を追った。「絵に描いたような頑固親父だった。丼が飛んでくることなんて日常茶飯事」と、懐かしそうに話す。「今となってはその厳しさが活かされていると心底思うけどね」と、父への感謝を語る。
○…そば屋の1日は大忙しだという。朝4時には起床し、仕込みを始める。先代が亡くなってからの30年、創業当時の味を守りぬくことは、決して簡単なことではなかった。「水加減や湿度、ちょっとの差で味は変わってしまう。妥協は一切許されない」。かさついた手のひらは、蕎麦に込める情熱を物語る。
○…7人の孫の話には思わず頬が緩む。「一緒に住んでいる小学生の孫は、人懐っこくてお客さんにも大人気」と嬉しそうに話す。「大晦日には毎年、嫁いだ娘や孫たちが店の手伝いにきてくれる。正月はいつもうるさいくらい賑やかだよ」と、家族への愛情を滲ませる。
○…「地域の人に親しまれる店にするには、良いことでも悪いことでも人の意見に耳を傾けることが大切」。時間さえあれば、同業の仲間や近所の人たちと飲み語らい、情報交換をすることも多いという。「蕎麦のように細く長くのびのびと、人付き合いも広げていけたらいいですね」と優しく微笑んだ。
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