金目のホタル 土屋に「里帰り」 地元住民 ビオトープに幼虫放流
湧水にカワニナ 生育条件揃う
かつてホタルが飛び交っていた土屋の座禅川周辺にホタルの光を取り戻そうと、地元住民が生育環境となるビオトープをつくりあげた。今月16日、土屋のゲンジボタルを「先祖」に持つ、金目親水公園で育った幼虫100匹が放流され、住民は「無事に育ち飛び回る姿が楽しみ」と胸を躍らせている。
ビオトープを整備したのは、土屋にホタルの里をつくろうと集まった有志10数人。今月上旬に地権者の了解を得て、生活用水などに使われていた湧水が座禅川に注ぐ、長さ約40メートルの水路を3日がかりで整えた。
水路はホタルの幼虫が餌にするカワニナが豊富に生息しているほか、流れが穏やかで生育条件が揃っているという。整備には、2001年から金目親水公園でゲンジボタルの飼育を行う「親水公園ホタル保存会」の米村康信代表が協力し、飼育の知識に乏しい住民にアドバイスを行った。住民は、幼虫が地上へ這い上がれるよう水路の溝を削るなど工夫し、保存会が育てた幼虫を譲り受けて放流にこぎつけた。
親水公園で最初に育ったホタルは、土屋で採取した成虫を交尾、産卵させたものだ。10年以上を経て里帰りしたホタルの幼虫放流に立ち会った杉山昇さん(77)は、「ホタルが生息できる環境づくりの第一歩になった」と喜ぶ。順調に成長すれば、5月下旬以降に成虫が誕生する予定という。
「当たり前のように存在した身近な自然を、自分たちで取り戻そう」
ホタルの里づくりを提案した安池春敏さん(71)は、今では限られた場所でしか見られなくなった土屋のホタルを増やそうと、5年ほど前から秦野市や二宮町にあるホタルの生育環境を見学してきた。念願だったビオトープ整備が一段落し、今後は米村代表から飼育に関するノウハウを学び、自宅でホタルを育てることが目標だ。
安池さんは「カワニナが生息する場所は他にもある。この水路でホタルが育てば、活動場所を広げるきっかけになる」と話し、ホタルの里づくりへの夢は広がる。幼い頃に見た幻想的な光を思い起こしながら、今は完成したビオトープを毎日のように見守っている。
※ビオトープは私有地に整備されているため非公開
|
<PR>
|
|
|
|
|
|
|
<PR>