地元選抜チームも参加
地面を転がるボールの音を頼りにバットを振る。当てたぞ。ベースコーチが叩く手の鳴る方へ打者が走り出した。ベンチと観客は声や音を出さずに試合を見守る。視覚に障害がある人の野球・グランドソフトボール。「静かな甲子園」といわれる全国盲学校野球大会が市内で20日から22日まで開催されている。
29回目を数える今大会には県立平塚盲学校と横浜市立盲特別支援学校、横浜訓盲学院の3校が神奈川選抜チームとして参加。北海道から九州まで全国9地区の代表が集まった。平塚中等教育学校と大原小学校を会場に21日に予選リーグ、22日に決勝トーナメントを行い、熱戦を繰り広げる。
神奈川チームの選手は、下は中学生から鍼師などの国家資格取得を目指す専攻科の生徒まで年齢や在籍課程もさまざまな15人。学校が離れているため、選手たちは個々にトレーニングを積んだり技術を磨いたり、時間をやりくりして一緒に練習する機会を設けてきた。11日に平塚盲学校で合同練習があり、職員チームと練習試合を行った。「真ん中ここね。ハイ、ハイ、ハイ」と大きな掛け声と手拍子で全盲の投手へ合図を送っていたのは、キャプテンで捕手を務める森愛裕(よしひろ)さん(盲特別支援学校)。「チームの雰囲気はいい。全国大会ではスタッフや地域の人、協賛企業など多くの支援に感謝しながら元気よく戦う姿を見せて勝ちたい」と意気込む。投手の荒木智宏さん(平塚盲学校)は「緩急をつけたコントロール重視の投球で臨む」と語る。
グランドソフトボールは男女を問わず1チーム10人でプレー。最低4人は全盲の選手でなければならない。弱視の選手がアイシェード(目隠し)をして全盲選手として参加することもできる。全盲選手が打球を捕るとゴロでもアウトになり、通常の野球とは異なるルールによる試合展開の面白さがある。「視覚障害者の団体競技は少ないが、グランドソフトボールは和気あいあいと楽しくできる」と本田詔子さん(平塚盲学校)は話す。
神奈川選抜の瀬戸栄一監督(同校教諭)は「メンタル面をコントロールし、大会の緊張感を楽しむくらいの試合をしてほしい」と選手を鼓舞する。同チームの初戦は21日午前10時20分から。
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