認知症を正しく理解し、認知症の人と家族を温かく見守り、支援する「認知症サポーター」の養成講座が平塚警察署(綿引直也署長)で開かれた。10日から12日までの3日間で署員約165人が受講。徘徊中の高齢者を保護するなど認知症の人と関わる機会のある警察官が、認知症の症状や対応の仕方を学んだ。
講座では市の高齢者よろず相談センターと県平塚保健福祉事務所、市高齢福祉課の職員が日替わりで講師を務めた。認知症は記憶力や判断力が低下したり、感情をコントロールできなくなったりするなどの症状が表れるが、何も分からないわけではないと説明。きつい口調や不親切な態度で接することは認知症の人の自尊心を傷づけ、より混乱させる場合もあると伝えた。
行方不明や空き巣被害、万引き行為などで認知症高齢者が事件や交通事故の当事者になる事例も起きている。こうした際に警察官がどのように接したらよいか。まずは一定の距離を保って見守る。近づく時は背後からではなく正面から。「何か困っていますか」と優しく、短い言葉で話しかけるといった具体的なアドバイスが講師からあった。
対応の心得 職務に反映
祖母が認知症だったという警察官は「ゆっくり話を聞くことが大事だと分かった。家族が相談機関を知らない場合は包括支援センターなどがあることを積極的に教えたい」と話した。「質問を次々投げてしまった」と振り返ったのは、認知症高齢者に対応した経験のある別の署員。「複数で取り囲まないで一対一で接し、相手のペースで話を聞くように努めたい」
厚生労働省研究班の推計によると、2012年の全国の認知症高齢者は約462万人。65歳以上人口の約15%にあたる。認知症になっても住みなれた地域で安心して暮らせるよう、国は05年から全国で認知症サポーターキャラバンを展開。自治体と企業、団体、全国キャラバンメイト連絡協議会が主体となり、地域・学校・職場などで養成講座を開催している。市内では今年9月時点で8910人が受講した。受講者には認知症の支援者であることを示すオレンジ色のブレスレットが配布される。
県下の警察署で同講座が開かれたのは平塚署が初めてではないかという。同署では認知症の人の見守りと支援に向け、関係機関との連携強化を図っていく。
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