コーヒー牛乳発祥の会社が平塚市内にあるのをご存じだろうか。宮の前の守山乳業株式会社は1920年、国内初のコーヒー牛乳を国府津駅で発売、今や誰もが知る国民的飲料の生みの親となった。同社は創業100年を前にした今も開拓精神を継承。長期保存可能なロングライフ乳製品でトップシェアを誇るなど、業績を伸ばしている。
コーヒー牛乳の開発に乗り出したのは、同社前身の「守山商会製酪所」(1918年創業)の2代目社長、守山謙氏が、コーヒー豆を売り込む住田多次郎氏と出会ったことがきっかけ。当時は一部の嗜好品に過ぎなかったコーヒー。謙氏は、その苦味が普及の足かせになっていると考えた。「牛乳を混ぜたら美味しいのでは」。シンプルで、誰もが好む味に仕上がった。
次に課題となったのが保存期限。冷蔵設備が未発達の時代、1日で傷んでしまう乳製品の全国的な流通は困難とされていた。謙氏は医師だった弟の助言で、コーヒー牛乳を詰める瓶の煮沸消毒技術を確立。当時、全国初の駅弁を売り出していた国府津駅の販売を契機に、全国の駅でもお馴染みのヒット商品に成長させた。
同社はその後も、コンデンスミルク、エバミルクといった練乳、コーヒー用のクリームパウダー、ソフトクリーム用のミックスパウダーを国内で初めて開発するなど、持ち前の革新精神で事業を拡大。現在では、冷蔵庫なしで長期保存可能なロングライフ食品の開発も強化してきた。
「ロングライフ食品のトップ企業を目指す」。謙氏の孫で5代目の大塚直人社長が描く会社の目標だ。同社は現在、「MORIYAMA喫茶店の味」と銘打ったココア、珈琲パックのシリーズや、ソフトクリームの液状原料などの製品を販売。コーヒーショップやカラオケチェーン店、全国の飲食店、介護施設にも販路を広げ、ロングライフ食品のトップシェアを誇る。「他社にはないものを開発するのが活路。味に関しても、以前から外食企業さんにお墨付きをいただけるようなものを作っている」と大塚社長。
2011年の東日本大震災では被災地に自社製品を寄付、常温で日持ちする点が重宝されたと話を聞き、商品への自信を深めたという。
大塚社長は平塚出身。平塚江南高校時代の思い出と共に「馬入川前辺りで電車から見える富士山が、自分の中での一番の風景」と笑顔で話す。「地域の方々に支えられ、これからも全国の皆様に『感動する商品』を届けていきたいと思います」。
|
<PR>
平塚版のローカルニュース最新6件
|
|
|
|
|
|
|
<PR>