「平塚ゆかりの作家 中勘(なかかん)助(すけ)を知る会」(大蔵律子会長)が、「平塚てづくり紙芝居の会」(鈴木惠子会長)のメンバーで市内在住の丸島隆雄さん(53)に依頼し、中勘助生誕130年と没後50年記念の紙芝居『中さんと犬のタゴ』を制作した。
手記に残された愛犬との交流を題材にした紙芝居は9月27日、ひらつか市民活動センターまつり(会場/同センター)で初公開される。発表は午後1時から。
中勘助は、夏目漱石が絶賛した自伝的小説『銀の匙』で知られ、1924年(大正13年)〜32年(昭和7年)に現在の龍城ケ丘に居を構えた。平塚での生活は日記体随筆『しづかな流』で描かれ、周囲の自然を活写した詩も多く残されている。
中勘助を知る会は2013年に活動を開始、平塚関連の詩や和歌を集めた冊子を発行するなど、地元ゆかりの作家に光を当てている。生誕130年にあたる今年、子ども達にも存在を知ってもらおうと、丸島さんに紙芝居の制作を依頼した。
紙芝居に登場する愛犬は、中勘助が仕方なく引き取った「奇態な犬」で「田吾作」からタゴと名付けられた。しかし、タゴが賢く成長するにつれて溺愛するようになり、『しづかな流』には愛犬の怪我を懸命に看病する様子が記されている。
こうした愛犬とのエピソードが子どもに親しみやすく、中勘助の優しい人柄を伝えられると、同会が紙芝居の題材に決めた。
4月に依頼を受けた丸島さんは、タゴについての記述や当時の写真を参考にイメージを膨らませ、絵と読み原稿を制作したという。12枚の絵は、聞き手が共感しやすいように愛犬を見つめる中勘助の視点で描き、黒毛のタゴが際立つようにモノクロにした。
同会事務局の飯尾紀彦さんは「だんだんと犬が可愛くなるという愛情がよく伝わる作品になった」と仕上がりに目を細める。丸島さんは「醜い犬の容姿ではなく、タゴそのものを知っていくなかで、愛情が生まれていくところを、子どもたちに感じてもらえれば」と話していた。
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