高度経済成長が進む一方、経済格差問題などを抱えるベトナム社会主義共和国。その首都ハノイに10月17日、平塚市を中心に理美容業を展開するライオンファミリーグループが理美容店「AUBE JAPAN」を開店した。同店舗は、現地の若者を雇用して教育する就労支援の役割を担うとして、雇用問題を抱える同国政府からも期待されている。
理美容技術を輸出独り立ちをサポート
理美容店や専門学校の運営などを手掛ける同グループは、近年力を入れている海外出店計画で、髪質が日本人と同じ黒髪で直毛、親日国でもあるベトナムを有力候補に挙げていた。現地調査を進める中で、同国の抱える社会問題に直面。「教育型店舗」としての出店を決めたという。
ベトナムでは、若者の雇用先不足が問題化している。背景には急激な経済成長に伴い広がる、経済格差がある。ベトナム国民の平均年齢は20代半ば。都市部には地方から出稼ぎに来たものの職に就けず生活に困窮している若者が増えている。日本をはじめとする国外企業の進出が一部雇用の創出に一役買っているが、地方出身で満足な教育を受けていない若者も多く、就労支援制度も十分に整備されていない。
同グループが出店する「教育型店舗」は、ベテランスタッフを中心に、新人を育成しながら営業を行い、店舗独立までを一貫して支援するもの。現地では、雇い主が新人を教育せず、あくまでもアシスタントとして使い続けるのみの店舗も多いため、若者の就労支援の好事例として期待される。
また、経済格差は理美容業界にも影響を及ぼし、増加する富裕層向けの高級理美容店が増す一方、庶民の理美容店は仮小屋や、路上でそのまま椅子に座らせカットを行うような店舗が主流。日本では理美容師の営業に国家資格が必要だが、ベトナムでは教育プログラムが確立されておらず、資格そのものが存在していないため、技術や衛生上の問題も指摘されている。
同店は、手ごろな価格で衛生的にも技術的にも管理されたサービスを受けられる理美容店舗形態を同国に広めるきっかけとしても期待されているという。
新店舗オープンに先駆け、同グループ所属のベテランスタッフ2人が現地入りし、3カ月かけて現地スタッフとして雇われた若者3人を指導した。若者らは一人前と認められれば、同グループの海外支店として、店舗独立の支援を受けられる予定だ。
ベトナム政府は、新たな理美容需要を生み出すと共に、若者を教育、独り立ちさせ事業を生み出す同店の取り組みに「雇用対策の新たな一手」として強い関心を示しているという。
ライオンファミリーグループ代表の井出隆夫氏は「現地入りスタッフの1人は平塚出身。日本の高い理美容・接客技術を生かし、平塚発の店舗から、日本とベトナムの懸け橋になれば嬉しい」と笑顔で話した。
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