平塚版 掲載号:2017年1月1日号

落合市長

五輪キャンプ成功へ意欲 政治

本紙インタビューで市政を語る

本紙の質問に答える落合市長
本紙の質問に答える落合市長

 タウンニュース平塚版は年頭にあたり、平塚市の落合克宏市長に単独インタビューを行った。市長は昨年を振り返るとともに、海岸エリアやツインシティ整備の進捗をはじめ、新年度予算編成の見通し、全国学力調査の結果などについて語った。新年度に取り組みたい事業では、2020年東京五輪の事前キャンプを受け入れる態勢づくりなどを挙げた。(聞き手/本紙平塚編集室編集長・沼田繁)

  ◇   ◆   ◇

 ―昨年を振り返り、平塚市はどんな1年でしたか。

 「ハードのまちづくりで動きのあった1年でした。日産車体第一工場跡地で、市内では17年ぶりの大型商業施設ができました。オープンした10月は約100万人の来場があり、その7割が市外からの人だと聞いています。この人の流れを市内全体に波及させる政策展開もしていきたいと思っています。ツインシティも具体的な整備が始まり、平塚が将来的に選ばれるまちになりつつあります」

龍城跡地「民間資本の活用も視野」リトアニアは「日本人に通じる人間性」

 ――新年度予算編成の見通しはいかがでしょうか。

 「経済は緩やかな回復基調と言われていますが、為替の影響もあって厳しい状況は続いていると思います。歳入は、大型商業施設の開業に伴う増要因はあるものの、税の一部を国税とする法人課税見直しの影響もあり、厳しい状況が続きます。

 歳出は超高齢社会の中で、800億円規模の一般会計のうち社会保障費が200億円以上を占めています。また市内には公共施設が多く、老朽化への対応にもお金がかかります。経済活性や定住促進、ネーミングライツなどの取り組みで歳入確保を進め、新文化センター整備の考え方のように民間の力を借りることも考えないといけません」

 ――歳出削減に向けた行財政改革について、昨年はその手法として毎年続けていた事業仕分けや事業評価を行いませんでした。

 「2009年度から15年度まで『仕事の点検作業』『事業仕分け』『庁内評価』『事業評価』と形を変えて約100の事業を対象に取り組んできました。一定の削減効果が出て、市政の透明性や、事務事業を見直すノウハウがある程度蓄積されたので、16年度は行財政改革の手法を再検討しようということで事業評価の取り組みを見送りました」

 ――事業評価は行政運営に外部の視点が取り入れられるという意義もあります。

 「第三者の客観的な目は必要です。新年度は新たな手法を検証し、民間活力をどこに取り入れるのかといったことも検討していきたい。具体的には、不燃ごみと有害ごみ収集業務の民間委託、各種証明書のコンビニ交付、保育園の民営化なども進めていきます」

 ――今年発表した海岸エリア魅力アップチャレンジの進捗はいかがでしょう。

 「圏央道の開通で、北関東のICから湘南地区のICに降りる車の台数が14年と昨年6月を比較して約4・6倍に増えたと国道事務所から聞きました。ですから、海岸エリアを平塚の魅力を発信する力としていかなければ。まずは龍城ヶ丘プール跡地に駐車場や休憩施設を整備します。現在は測量や基礎調査をしていますが、新年度は設計にも入っていきたい。民間資本の力を借りることも視野に入れ、東京五輪の20年までに整備していきたいと考えています」

 ――大神地区のツインシティは今年、どのような整備が進みますか。

 「現在、造成面積50 haのうちの8割が着工済で、今年は道路や水路の築造工事が始まります。土地区画整理組合は事業完了を12年後の29年度としていますが、そこまでかからないのでは。複合商業施設や物流施設も2〜3年後には順次、開業する予定です。

 寒川町倉見と結ぶ新橋も県が着工後10年で開通させる計画です。橋ができると、湘南台から伊勢原の国道246号までつながります。大神へのアクセス道路の整備も進み、パイロット線の伊勢原方面への延伸も昨年、県の計画に位置付けられました。新東名の厚木南ICも17年度中に開設予定で、企業立地にも魅力的な交通の結節点になります」

 ――新幹線新駅は現実味が出てくるのでしょうか。

 「具体的にまちづくりが進み、東海道新幹線新駅に対するJR東海の感触も変わってきたように感じます。また、4月に国交省の交通政策審議会の中で、湘南台から慶応義塾大学湘南藤沢キャンパスまでだった相鉄いずみ野線の延伸も、最終地点として倉見駅が明示されています」

 ――地元経済界でサッカースタジアムの建設を検討する動きがあります。

 「湘南ベルマーレが強くなるために必要な収益向上にもつながりますし、建設の可能性を民間で検討してくださるのはいいことだと思います。市としては検討会の動向を注視しながら、今のBMWスタジアムがJリーグ基準に適応するようバックスタンドの席数を増設し、今後は照明の老朽化対策を行っていく方向で考えておりまして、ベルマーレを支援していきます」

 ――JT平塚工場跡地をはじめ、工場撤退による跡地利用は今後も大きな課題になりそうです。

 「平塚のまちを支えてきた製造業の集積は、雇用確保のためにも大切です。工場が撤退した土地には製造業を中心に立地してもらうことが理想ですが、そうでなくても平塚にとって有益な跡地利用が望ましいです。JTとはコミュニケーションを取っておりまして、まちづくりを踏まえた跡地利用を一緒に考えましょうという認識を共有しています」

 ――企業誘致をするためにはインセンティブも必要だと思います。

 「施設整備や地元採用への補助、設備投資への融資など、インセンティブの方策はすでに動き出しています。道路網の整備や働いている人たちが子育てしやすい環境づくりも必要な視点だと思います。創業支援でも、経営相談など総合的に支援できる応援団のようなものを作りたいと思います」

 ――全国学力・学習状況調査で、今年も市内の平均正答率が全科目で全国と県平均を下回りました。

 「基礎的な知識・技能の定着が課題です。公教育はベースを保つことが使命ですから、教育大綱にも『確かな学力を培う』と明記しました。教育委員会では『わかる授業』に向けた教員の研修を拡充します。私たちは学校トイレの洋式化やエアコン整備など、学びやすい環境を整えていきます。現在のトイレの洋式化は約41%で県平均よりも少し低いんです」

 ――新年度に取り組みたい事業はなんでしょうか。

 「20年東京五輪に向けて、1年間の誘致活動を経て、リトアニア共和国の事前キャンプが決定しました。総合公園を中心にスポーツ施設が充実していることが評価されました。施設も充実させながら、ホストタウンとして市民の皆さんに参加していただき、一緒におもてなしをする態勢ができるよう取り組んでいきます。

 リトアニアは調印式で、スポーツはもちろん、文化、医療、教育、産業での交流も強く望んでいました。駐日大使は小児科医で、市民病院の小児・周産期センターに強い興味を持たれていました。市内の学校に教員を研修で派遣したいという要望もあります」 

 ――リトアニアの魅力はどこにありますか。

 「勤勉で優しく、日本人に通じる人間性を持っています。リトアニア日本領事館でユダヤ難民にビザを発給した杉原千畝さんの功績もあって、非常に親日的です。また、政府内には副大臣をはじめ女性が多くいらっしゃいまして、女性活躍の先進国だという印象も受けました。平塚市も女性部長がいますが、女性が活躍できるワークライフバランスも学んでいきたいです。機が熟せば、友好都市や姉妹都市というお付き合いもありえると思います」

 ――今年で2期目も折り返しを迎えます。

 「就任後から取り組んできた人口減が下げ止まりしてきました。子育て支援や高齢者福祉、ハード面の整備が形になって成果として見えてきたのでは。行政組織についても、現場の職員から課題や提案が出されてくるなど、まちづくりの想いが共有されるようになったと感じています」

 ――最後に今年の抱負をお聞かせください。

 「今年は、『温かさ』をテーマに政策を進めていきたい。4月には、市内4カ所目の集いの広場や学童保育の機能を備えた港地区認定こども園を開設します。保健センター内には子育て世代包括支援センターを開設し、高齢者地域包括支援センターも8カ所から13カ所に増やします。シティプロモーションのスローガン「手をつなぎたくなる街 湘南ひらつか」のように、子育て世代や高齢者への温かな支援を進めていきたいと思います」
 

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