平塚生まれの新ブランド米「はるみ」がこのほど、日本穀物検定協会の「2016年産米の食味ランキング」で最高評価の「特A」に選ばれた。県産米では初の快挙だという。美味しさに「お墨付き」を得たことで、地元の関係者や生産者らは喜びの声を上げている。
食味ランキングは、良質な米作りの推進や消費拡大に役立ててもらおうと、同協会が1971年から実施している。「特A」〜「,B」の5段階で評価され、46回目の今回は全国から141品種が出品。「特A」には44品が選ばれた。
はるみは「キヌヒカリ」と「コシヒカリ」を混ぜ合わせた新品種。湘南が育成地であることから、「晴れた海」にちなんで名づけられた。JA全農営農・技術センター(東八幡)が1995年に開発し、2014年に「はるみ」として品種登録。15年2月には県の奨励品目に指定されている。
味はキヌヒカリの甘味とツヤ、コシヒカリの粘りを併せ持つ。栽培面でも草丈が低いため倒伏しにくく、長雨でも品質が低下しにくいのが特徴だ。
湘南農業協同組合(JA湘南)によると、14年の同管内における米の出荷量725tに対し、はるみの出荷量は6・9tだった。翌年は46・7tに増え、16年には164・6tまで増加した。同組合は17年以降、主力米であるキヌヒカリからはるみの生産へ切り替える意向で、担当者は「特A選出を受け、今後は生産者や出荷量も増えていくのでは」と予想する。
関係者ら「寝耳に水」
「美味しい味が特徴のお米なのでいい成績になるだろうと思っていたが、期待以上の結果で驚きました」と話すのは、同センター農産物商品開発室室長の森永靖武さん(51)。初期段階からはるみの開発に携わってきた「生みの親」は、「今回の特A選出をきっかけに多くの人に知ってもらい、地元のお米を味わってほしい」と思いを馳せる。
JA湘南大型直売所「あさつゆ広場」(寺田縄)でも、特Aの発表後にはるみを購入する人々が殺到した。問い合わせが相次ぎ、2月25日・26日の両日で2・5tの売り上げを記録。3月上旬には今年度生産分が全て完売したという。久留主誠店長(41)は「特Aをもらえるとは寝耳に水でした。3年前から各方面でPRを重ねてきたこともあり、その効果が実ったのかな」とほくほく顔だ。
市内真田で約50年以上、米の生産に取り組む市川亀雄さん(72)も「地元で穫れたはるみが最高評価をもらえたのは、特にうれしいことです」と喜ぶ。
市川さんは現在、160aの田んぼでキヌヒカリとはるみを栽培する。
出会いは2年前、試験的に20aを生産したときだった。穂発芽しにくく、品質が落ちにくいはるみは生産者にとって管理しやすい品種だ。市川さんも20aだった作付けを、16年には60aまで拡大させた。
育苗や田植えなども、キヌヒカリと同様にはるみを管理。真田地区は大山水源から流れ出る水の効果もあり、「きれいな水は米作りにも影響する。恵まれた環境で仕事ができています」と目を細める。
17年度の作付けから、全面的にはるみの育成に変更するという市川さん。「今後も最高評価の『特A』をもらえるように生産を維持して、美味しい米を消費者に届けていきたい」と笑顔を見せていた。
JA湘南によると、17年度産のはるみは10月初旬から「あさつゆ広場」や各地区の直売所などで販売されるという。
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