障害のある利用者が得意なアート活動を仕事にする市内の福祉施設「スタジオクーカ」の横溝さやかさん(30)が、障害者スポーツ団体を支援した企業の認定ロゴマーク(=写真)を文部科学省の依頼で制作した。
これは2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、障害者スポーツの支援を企業に呼びかける文科省の取り組み。ロゴマークには、車いすテニスの選手や、義足で走るランナーが描かれている。
横溝さんは「制作できて嬉しい。たくさんの人に見てほしい」と話している。
広がる極彩色の世界目指すは東京五輪ポスター
知的障害と自閉症を抱える横溝さん。養護学校卒業後から同所に通い、今では仕事の依頼が次々に舞い込む、クーカを代表する人気作家だ。
ロゴマーク制作のきっかけは昨年10月に国立新美術館で開催された障害者アーティストの展示「ここから アート・デザイン・障害を考える3日間」だった。横溝さんは同展にロンドン、ブラジルなど世界の街並みを描いた「世界旅行シリーズ」と、新作の「東京2020に向けて」などを出展。これが障害者アーティストを探していた文部科学省の目に留まった。
「10年ほど前は自分の世界に閉じこもる傾向が強く、廊下の隅で絵を描いていた」とスタッフの中尾大良さんは話す。物語のある絵を描くのが好きで、声優のように声色を変えてセリフを読み上げるのも得意だったことから、スタッフから提案され紙芝居を制作。イベント時の読み聞かせも好評で、明るくかわいらしい画風と共にファンもつき、今では作品のバリエーションもポスターやはがきサイズの絵まで広がった。
下書きなしのフリーハンドで描かれる横溝さんの作品は、コレクションしているという愛用のコピックで色づけされる。抜群の記憶力と間違いを許さない性格は、街や人、動物の細かな描写や丁寧な色塗りに表れ、作品のクオリティーを引き上げている。
イベント時のライブペインティングでは、来場者を絵の中に登場させるなど、リクエストに応じるのが好きという横溝さん。中尾さんは「今では他の利用者からの意見を紙芝居に反映させるなど、みんなとわいわいやっている姿が見られます」と目を細める。
横溝さんは「次は東京五輪のポスターを描きたい。依頼してもらえるように頑張ります」と意気込んでいた。
ギャラリークーカ(明石町14の8)では15日(土)まで横溝さんの作品も展示されている「スタジオクーカ春の新作展」を実施している。午前11時〜午後3時30分。
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