郷土資源の発掘・調査を行っている「金目エコミュージアム」(米村康信会長)が、設立10周年を記念した式典を8月27日(日)、市中央公民館小ホールで開催する。午前10時〜正午。また、それに合わせて市役所本館1階の多目的ホールでは31日(木)までパネル展が催されており、同会の10年の歩みを辿ることができる。
金目エコミュージアム発足のきっかけは、2000年に平塚市が進めた「歴史再発見事業」だ。地元住民をはじめ、みずほ、金目両小学校の児童やPTAを巻き込み、5年間ほど地域史の掘り起こしに取り組んだ。その後「エコミュージアム 金目まるごと博物館」として住民主体でスタート。地域全体を博物館に見立て、自然、歴史、文化を掘り起こし、保存している。昨年5月に名前を「金目エコミュージアム」に改称した。
会員73人の活動の原動力は地域への愛着と誇りだ。縄文時代にまでさかのぼる遺跡群は、人々の生活が古くからこの地に根付いていたことを表している。坂東7番札所として巡礼者が訪れる金目観音や、源頼朝挙兵の立役者でもある武将の真田与一、明治期に先進的な活動が展開された自由民権運動など、各時代の史跡や逸話は地層のように重なっている。
中でも活動の成果として挙げられるのが、「金目の鍼医さん」として全国的に知られ、中郡盲人学校(平塚盲学校)を創立した秋山博の墓前祭だ。03年に第1回を寂静寺で執り行い、その後毎年開催している。もともと墓参りに訪れていた盲学校OBだけでなく、今では地域住民が参加し、金目中学校生徒による福祉作文の朗読も行われる。「盲学校設立には自由民権運動の活動家が秋山博さんに賛同し、資金面など支援した。金目は近代史において福祉先進地域になるべくしてなったと思います」と米村会長。地域の偉人を通して、これまであまり知られていなかった「福祉の村」という金目の一面を発掘した。
残すべき資源として、豊かな自然にも注目した。冬になるとシベリアからやってくる長い冠羽を持つタゲリや、悠々と羽を休めるハヤブサ、親水公園のホタルに金目川のオイカワやアユは、四季の訪れを伝えると共に、同ミュージアム主催の観察会に訪れる子供達と地域の大人をつないでいる。
金目川の水は稲作を支え、安定した生活は文化や信仰を生み出した。「狭い地域だからこそ、点ではなく線で歴史や文化がつながっているのがわかる。掘れば掘るほど興味深いエピソードが出てくる金目はすごい」と米村会長は目を輝かせる。同会は今後、発掘した資源を産業に生かしたいと、商店街と協力した金目ブランド菓子の開発などを構想中。歴史研究の視線は近代史へとクローズアップ予定で、五領ヶ台貝塚発掘のきっかけとなった森照吉や、県下で初めて国民健康保険を導入したという村長の柳川力、赤痢菌をいち早く発見したとされる露木覚など盛りだくさんだ。米村会長は「単なるベッドタウンで終わらせない。金目で育った子供達が誇りに思えるような地域の宝を残したい」と意気込んでいた。
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