2020年東京五輪の事前キャンプを平塚市で実施するリトアニア共和国の選手団が2日、土沢中学校(林孝之校長/生徒数169人)を訪問し、生徒とのひと時を楽しんだ。トップアスリートを土沢に招き地域活性につなげようというグループ学習をきっかけに実現した交流で、生徒たちはさまざまな企画で選手をもてなした。
「わあ、ホンモノだ」「すごく体が大きいんだね」―。選手や関係者らおよそ20人が体育館に姿をみせると、生徒たちからは歓声が上がった。選手団はカヤック、カヌー、ボート、ボクシング、柔道、陸上競技、近代五種と幅広く、生徒は質疑応答のコーナーで「シャドーボクシングを見せて」とリクエスト。ロンドン五輪銅メダリストのエヴァルダス・ペトラウスカス選手が両腕を構えると、生徒から大きな拍手が起こった。
選手団の訪問は2・3年生の探究学習がきっかけ。同校では総合学習の時間に「地域活性を考える」をテーマにグループごとにその方策を考え発表している。今年も4月〜10月にかけて実施され、2つのグループが「リトアニアの五輪選手を土沢へ」を活性策に掲げて学習に取り組んだ。
生徒たちはリトアニアの歴史や文化についてインターネットで調べたほか「もしも選手が来校したらプレゼントしよう」と、4月から吉沢・土屋地区の見どころをまとめたエリアマップ作りにも着手。解説文は公用語である英語でまとめ、英語科の田中美樹子教諭(53)が添削した。 さらに、同校の年間行事を英文で紹介する冊子作りにも取り組んだといい、「大量の情報を辞書で英訳し、まだ習っていない英文法にもトライしたり、子供たちの作業は大変だったと思います」と田中教諭は教え子たちをねぎらう。
転機は5月。当時開催中だったリトアニア展を見学するため市役所を訪れた生徒の取り組みが、落合克宏市長の目に留まった。彼らの熱心な学習姿勢に感銘を受けた落合市長は選手団にかけあい、9月ごろ来校が決定。吉報を耳にした生徒たちからは驚きの声が上がったという。
2日の選手団訪問では、日本文化を味わってもらおうと、生徒たちが箏で「歓喜の歌」や「カノン」を披露、選手たちに演奏体験してもらう一幕もあった。その後は綱引き対決や紙風船遊びを楽しみ、スマートフォンで記念撮影するなど交流を満喫した選手たち。カヤックのE・バルチューナスコーチは「リトアニア語であいさつしてくれて大変驚きました」と粋なおもてなしに感謝した様子だった。
およそ半年かけて完成させたマップと冊子も選手一人ひとりに無事届けられ、安堵の表情を浮かべた生徒たち。女子マラソンのディアナ・ロバチェヴスケ選手は「早く母国の家族に見せてあげたい」と心のこもったお土産を大切そうに抱えていた。
3年生の天城史穏君(15)は探究学習を振り返り「とても楽しい交流になりました。いつかリトアニアを旅行したいと思いました」と胸をふくらませた。田中教諭は「子供たちにとって貴重な国際理解の機会になりました」と選手や関係者に感謝し、「広い世界に目を向けるきっかけになってくれれば」と生徒たちに期待していた。
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