大乗院(土屋200/内田高顯住職)の鐘つき堂が再建され11月3日、直径90cm、重さ975kgの新たな梵鐘(ぼんしょう)が、富山県や石川県から駆け付けた職人たちによって取り付けられた。落慶式は11月25日(土)、午前11時ごろを予定している。
もともとあった大乗院の梵鐘は、太平洋戦争時に兵器製造のため供出され、戦後に割れた状態で見つかった。当時は鐘つき堂自体が境内の外にあり、梵鐘が新調されることはなかった。戦前には同寺で除夜の鐘をついていたという地域住民の声もあり内田住職は「いつか復活できればと思っていた」と鐘つき堂の場所を境内に移し、再建に踏み切った。
鐘つき堂の設計は、同寺の本堂や山門も手掛けた千葉県の社寺専門設計事務所を営む中村詔雄(のりお)さん(83)に依頼。ふんだんにあしらわれた彫刻は宝相華(ほうそうげ)という架空の花をモチーフに一枚ずつデザインされ、伝統にのっとりながらも、オリジナリティある作品に仕上がった。「木造、白木の美しさを見てほしいです」と中村さんは鐘つき堂を見上げる。
施工した石川県の宮大工、沢井昌弘さん(50)は「彫刻をこれだけ取り入れるのはなかなかない。30年以上宮大工をしてきたが、文化財級だと思います」と声を弾ませた。
今年4月、内田住職や再建に協力した檀家らが富山県の鋳物メーカーを訪ね、火入れ式を実施。梵鐘には銅のほか、響きをよくするための錫(すず)、悪質なガスを排出するための亜鉛、檀家が願いなどを書き込んだ銅版塔婆が溶け込み、深みのある音を響かせていた。
梵鐘の設置を無事に終えた内田住職は「とても立派なものができた。お参りに来た方に鐘をついていってもらえればうれしい」と目を細めた。12月31日には70数年ぶりの除夜の鐘が土屋地区に響く。
問い合わせは同寺【電話】0463・58・1447へ。
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