リトアニア杉原記念館千畝の功績 風化防げ市内塗装業者がボランティアで修繕

文化

掲載号:2017年9月14日号

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老朽化した杉原記念館(提供写真)
老朽化した杉原記念館(提供写真)

 (有)相馬工業(纒)の相馬純さん(36)が9月4日から9日まで、全国の塗装業者らでつくるボランティア団体「塗魂インターナショナル」のメンバーとして、リトアニアの「杉原記念館」の修繕作業に参加した。相馬さんは、2020年東京五輪・パラリンピックで同国が平塚市で事前キャンプを実施することに触れ、「架け橋になれていたら喜ばしいこと」と話している。

 同国カウナス市にある「杉原記念館」は旧日本領事館にあたり、第2次世界大戦中に外交官の杉原千畝(ちうね)がナチス・ドイツの迫害から逃れてきたユダヤ人難民にビザを発給、約6000人を救ったという歴史的建造物。発給されたビザは「命のビザ」とも呼ばれ、現地では功績を称えようと当時のまま保存されており、観光スポットの一つとして一般公開されている。

 しかし築80年近くが経過する建物は、雨漏りや外壁がはがれ落ちるなど老朽化が進んでおり、現地では費用が掛かるとして修繕は見送られていた。

 修繕はその様子を知ったメンバーの一人が昨夏、日本の職人の技術で修繕しようと呼びかけ、相馬さんは二つ返事で参加を表明。全国から名乗りを上げた40社60人と共に4日から作業を開始した。

「職人の技術力」再認識

 仕上がりに賞賛の声も


 現地では「杉原ウィーク」と題した功績を称える催しが開かれており、着工式にはカウナス市長や杉原千畝の遺族も足を運び、感謝の言葉をかけられたという。

 作業は外壁を相馬さんらが塗り直し、屋根は地元業者に依頼。インターネットの「クラウドファンディング」で集めた約400万円をふき替え費に充てた。

 木造建築でありながら使用されている材料や工法、ドイツから取り寄せた塗料など、普段と異なる厳しい条件が揃う中、相馬さんらは日本から持参した刷毛等を使って外壁約500平方メートルの塗り直しを5日間実施。想定外の雨にも見舞われたがメンバー同士で協力し、養生シートで囲うなどして限られた時間の中で手際よく作業を進めていった。当初は作業を不安視していた現地の責任者は、仕上がりを見て「グレイト」と声を上げたという。

 作業を終えて10日に帰国した相馬さんは、「旅費や滞在費はすべて手弁当だったが、日本の職人の技術力を再認識できた」と回想。「両親の起こした『街のペンキ屋』で歴史的建造物の修繕に関われたことが誇り」と充実感を滲ませた。
 

修繕作業にあたる相馬さん(提供写真)
修繕作業にあたる相馬さん(提供写真)
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