第22回湘南ひらつか囲碁まつりが10月8日(日)、紅谷パールロードで開催される。それに伴い市北図書館(田村3の12の5)では、桃浜町にプロ棋士養成道場を開いた木谷實をクローズアップした小さな展示会「木谷實と川端康成―小説『名人』をめぐって―」を11月12日(日)まで実施する。
木谷實は1909年(明治42年)に神戸に生まれた。幼い頃から棋士になるべく指導をうけ、15歳の時に日本棋院が設立されると、初段棋士として参加。「怪童丸」という異名を持つ。
28歳で大磯から平塚に移り住むとプロ棋士養成のため「平塚木谷道場」を開設。家族同然に弟子たちと生活を共にし、後進の育成に力を注いだ。
川端康成著の『名人』は本因坊秀哉名人と木谷による「名人引退碁」の様子をもとに描かれた小説だ。「名人引退碁」はこれまで世襲制だった「名人」をタイトルマッチで継承するという初の試み。対局中断時もフェアに試合が運ぶよう、次の一手をあらかじめ決めておく「封じ手」などのルールも新たに導入された。
新聞の観戦記連載のため間近で戦いを見届けた川端は、病を抱え死の淵をさまよいながらも約半年戦い抜いた秀哉名人と、次世代として頭角を現し、最後は名人を破った木谷の一戦に感銘を受けた。盤上だけでなく、2人の心の揺れ動きも描きたいと、実話をもとにしたフィクションとして書き上げた。
作中、主人公の秀哉名人が本名で登場するのに対し、木谷は「大竹」という名前で登場している。これは木谷の「封じ手」を巧みに使った戦術が世間から卑怯だとバッシングを受けたことや、敵役として描かれることへの川端の配慮で、出版後には木谷の妻に手紙で詫びている。
展示について丸島隆雄館長は「家族や弟子に囲まれて暮らす木谷と、子供もなく重圧と孤独を抱え生きる秀哉名人の対比からも、人柄が見えてくる」と話す。『名人』は世界中で翻訳されており「名作と平塚の意外な関係性に注目してほしい」と笑顔を見せていた。
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