大磯談話室はまひるがおで皮工芸の個展を開催している 富山 キミ子さん 大磯町在住 93歳
健在な心のときめき
○…草花や蝶などの文様をカービングし、彩色を施したバッグや小物入れ、草履。ノアの方舟を表現したもの、円をモチーフにした絵画のような作品もある。いずれも皮で作られた工芸品だ。大磯福祉コミュニティが運営する「大磯談話室はまひるがお」で5月31日(火)まで富山キミ子さんの作品展を開催している。作者が93歳と聞いて、その自由な創造力や斬新な発想に驚かされる人も多いだろう。
○…大正7年生まれ。11人姉妹弟の長女。学校が大好きで成績も良かったそう。「妹や弟をおぶって近所のお別荘の道をぐるぐる歩きながら勉強したの。二宮金次郎さんみたいだったわよ」と振り返る。平塚高等女学校(現在の平塚江南高校)と御茶ノ水の駿河台英和女学院(YWCA)を卒業。昭和16年に結婚後も勉強熱は冷めることなく、平塚ドレスメーキングで洋裁を学ぶ。昭和38年から洋裁教室さゆり会を主宰し、個人宅や町役場、日本NCR大磯工場などで編み物や刺繍なども教えた。
○…ある時、横浜の手芸材料店へ買い物に行き、皮工芸と出会う。外国から皮を取り寄せ、アメリカの教則本を読んで独学した。この時、学校で学んだ英語が大いに役立った。さらにカルチャースクールでモダンアートを勉強し、皮工芸でも指導者の資格を得た。日本手工芸協会師範。文化交流行事で英国と中国を訪問し、「中国で宮中食をご馳走になりました。びっくりするくらい、お料理がたくさん出て」と思い出を語る。
○…0歳の曾孫を含め4世代9人が同じ敷地で暮らす。週4日はデイサービス、日曜日は教会へ。健康の秘訣を尋ねると、「アハハ」と笑い「家の中では仕事を探すようにして、洗濯物をたたむ。好き嫌いはなし。いつも美味しい御飯を作ってくれるお嫁さんに感謝ね」。サーベルを下げた黒マントの殿方に憧れていたという娘時代に話が及ぶと、おしゃべりが弾む。心のときめきは今でも健在だ。
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